2012 Fiscal Year Research-status Report
競争期を迎えた滞在型市民農園~特に老朽化施設管理と新設計画に関する研究
Project/Area Number |
24580349
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
牧山 正男 茨城大学, 農学部, 准教授 (20302333)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 滞在型市民農園(クラインガルテン) / 老朽化施設 / 新設計画 / 農村部へのIターン促進 |
Research Abstract |
本研究の目的として,「①老朽化が進みつつある既存の滞在型市民農園(KG)の維持管理の方策とその限界,ならびに取り壊しの方法および再建築の可能性についてと,②近年でも進みつつある新たな開設の計画のあり方についての検討を行うことを主な内容とする。これに加えて,③KGの新たな可能性および課題に関して追究する。今回はIターン促進の可能性に着目したい」と記述した。これに向けてH24年度は1)全国のデータベース作成,2)GISを用いたKG新設計画に関する検討,3)老朽化が懸念されるKGへの調査,を計画した。 この計画に対するH24年度の実績としては,①過去に作成してきたデータベースに対し,若干の見直しを行うとともに,特にKGの空き区画問題についての考察を行った。②既存のKGの分布に関するGIS的な検討を行い,現状およびその要因に関する分析を行った(①の成果と合わせ,論文投稿中)。③老朽化が懸念されるKGとして,北海道・栗沢クラインガルテンへの調査を行った。なお,①の大幅刷新は当面の大きな課題であり,③の事例蓄積の充実は当初計画にも書いたとおり,H25年度にも継続的に行う。 これらに加え,計画に謳わなかった内容として,以下の成果を得た。④東日本大震災に被災した宮城県丸森町のKGの事例についての調査を急遽行い,その実状を記録するとともに,この類の施設が具備しておくべき天災への対応について言及した(論文投稿,既掲載)。⑤H25年以降のテーマとしていたKGのIターン者獲得への寄与に関する調査を行い,結果の一部は過疎地におけるIターン促進策の一例として総説にまとめた(既掲載)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
前述のH24年度の成果①~⑤のうち,計画外だったが東日本大震災の影響を受けて急遽行った調査である④が大きい。これは被災の記録の一環となったばかりでなく,施設の開設主体である行政側と管理主体である地元住民組織(指定管理者)との間で,災害対応の備え(マニュアル作成や責任体制の調整)が不十分であったことを明らかにし,すでに原著論文として発表できた。同様に⑤についても,農村計画学会でIターンについて論じるための嚆矢となる論考を示すことができた。 当初計画を実施した①~③については,②③は概ね予定どおりの成果である。①についてのみ,マイナーチェンジ程度しかできず,より新しい情報に更新する必要性が残ったことから,自己評価は十分なものとはできないが,H25年度以降に急ピッチで進めることにしたい。
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Strategy for Future Research Activity |
申請時点では,H25年度の計画として,KGに関与する地元住民組織への調査と,その新設に関する理論の構築,Iターン促進効果に関する調査,そして老朽化施設に対する調査の継続を謳っている。 上記のとおり,データベースの更新と,GIS的な検討のさらなる充実とがこれに加わるが,概ねこれに沿った形で研究を進めていきたいと考えている。 なお,地元住民組織については,KGのみにこだわらず,他の地域づくり活動にも注目してみたいと考えている。どのような組織についても,活動を立ち上げ,軌道に乗せるまでの過程こそが重要だと考えているので,そこを掘り下げられるような組織に関わっていきたいと考えている。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
大半を旅費に費やし,一部を人件費に用いる,という計画にせざるを得ないだろうと考えている。
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