2013 Fiscal Year Research-status Report
競争期を迎えた滞在型市民農園~特に老朽化施設管理と新設計画に関する研究
Project/Area Number |
24580349
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Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
牧山 正男 茨城大学, 農学部, 准教授 (20302333)
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Keywords | 滞在型市民農園 / GIS分析 / 空き区画 / 新設計画 / Iターン促進取組 / 群馬県南牧村 |
Research Abstract |
本研究の目的として,「①老朽化が進みつつある既存の滞在型市民農園(KG)の維持管理の方策とその限界,ならびに取り壊しの方法および再建築の可能性についてと,②近年でも進みつつある新たな開設の計画のあり方についての検討を行うことを主な内容とする。 これに加えて,③KGの新たな可能性および課題に関して追究する。今回はIターン促進の可能性に着目したい」と記述した。これに向けてH25年度は,1)GISを用いたKGおよびその区画の空間分布に関する時系列を考慮した分析と,それを用いたKG新設計画に関する検討(H24年度の成果を受けて発展させたもの),2)市町村などが主体となったIターン促進取組に関するデータベース作成,3)住民主導によるIターン促進取組が行われている群馬県南牧村を対象に,その事業展開に関する調査,ならびに類似事例である千葉県館山市のNPO法人との比較,を実施した。 以上の成果として,①1)の成果をとりまとめ,論文として公表した(農村計画学会,32巻論文特集号,細谷,井上と共著)。『滞在型市民農園およびその区画の地理的分布―特に空き区画の現状および新設計画に注目して―』と題した本論文により,本科研課題の当初目的はその過半が達成できたと自己評価している。②2)の結果に解析を加えたものについて,現在,農村計画学会に論文として投稿中である(平林,細谷と連名)。③3)の成果について,まず中山間地域フォーラムのシンポジウムで招待講演した。また,著書『福島 農からの日本再生』(守友・大谷・神代編,農文協)に,『高齢化日本一の村でのIターン促進活動と地域支援―群馬県南牧村―』という表題で寄稿した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本科研課題の中核テーマである,滞在型市民農園(KG)およびその区画の分布とその時系列的な変遷に関するGIS分析について完了し,論文として公表できた成果について,高く自己評価している。また,本科研課題にとってはサブテーマの位置づけだったIターン促進取組についても順調にデータベースの作成および調査による情報収集が進んでいる。これについては,ちょうど今,定住人口の獲得が重要である旨がマスコミなどでさかんに報じられているが,そうした時流に対して先駆的な研究とすることを目指したい。
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Strategy for Future Research Activity |
本科研課題にとって重要なのが,老朽化施設を抱えた滞在型市民農園(KG)の現状把握と,KGに関するデータベースの更新である。それらはまさにH26年度の課題として計画している。 加えて,Iターン促進取組に関する研究が,前述のとおり時流の後押しをうけ,危急な課題になりつつある。そちらについても並行して研究を進めていきたいと考えている。 ただし,条件不利地域の調査が中心になるので,冬季の調査が難しいことがこの類いの研究にとっては大きな障壁である。秋までに計画的に調査を遂行したい。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
H25年度は,前述のとおり,GIS分析とIターン促進取組のデータベース作りに多くの時間を割いた。いずれも学内でできる作業である。これに時間を割いた分,現地調査に欠けられる時間がやや少なめだった。 前年度十二分には行えなかった,老朽化した滞在型市民農園ならびにIターン促進取組に関する現地調査旅費に使用する計画である。
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