2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24580364
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Iwate University |
Principal Investigator |
小出 章二 岩手大学, 農学部, 准教授 (70292175)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高木 浩一 岩手大学, 工学部, 教授 (00216615)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 農産施設 / 浮遊微粒子 / 空中浮遊菌 / 公衆衛生 / 水中殺菌装置 / 殺菌 / 損傷菌 / 農業生産管理工程 |
Research Abstract |
平成24年度は、実際の青果物貯蔵施設を用い、収穫前から貯蔵にかけて施設空間内の浮遊微粒子の粒径分布や粒子数、および空中浮遊菌濃度の定点観測を行った。 その結果、浮遊微粒子の粒径分布は、エアロゾルの粒径分布を表す際に一般的に用いられているJunge則で良く近似できた。また、粒径10ミクロン未満の浮遊粒子量について公衆衛生学的観点からリスク評価したところ、問題となる課題は見つからなかった。また、浮遊微粒子数の季節変動は小さいことが示された。 一方、浮遊微生物(真菌)濃度は、季節変動が認められ、農産物の収穫期は微生物数が多く、真冬(施設周辺は根雪)では少ない傾向を示した。得られた真菌濃度をリスク評価した結果、欧州の屋内真菌濃度の規格の範囲内であったが、農産物収穫期の施設空間内の真菌数の増加については留意する必要があることが示された。 更に、本年度は実験室レベルでの水中殺菌装置(密閉空間内で浮遊菌を混入した空気を、光触媒を入れた水中にてトラップしUVライト殺菌するための予備試験装置)を作成し、Escherichia coliおよびBacillus subtilisを供試菌として、その殺菌基礎特性を評価した。その結果、供試菌は処理時間とともに指数関数的に殺菌された。また、水中殺菌後も生存した供試菌は、コントロール区(殺菌処理をしていない区)と比べ、コロニー形成速度が遅く、損傷菌を多く含むことが示された。この損傷菌に対して修正ゴンペルツ式を用いてコロニー形成速度とコロニー出現数との関係を近似したところ、測定値を良く表現できた。 以上、本研究は青果物貯蔵施設内の空中浮遊微粒子や空中浮遊菌濃度の季節変動の一例を示すことができ、またその空中浮遊菌の殺菌法についても検討・測定したもので、実際の農産施設内の空中浮遊菌の殺菌に資するデータを与えるものである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
青果物貯蔵施設内の空中浮遊粒子や空中浮遊菌濃度の季節変動が明らかとなり、また水中殺菌技術を用いた農産施設内における空中浮遊菌の殺菌に関しても、基礎データの修得が終わり、実際の農産施設内での測定についての実験を計画中である。また、字数の関係で割愛したが、青果物貯蔵施設内の風向・風速分布予測も、ある程度予測可能な状況にあり、食品の安全性向上や労働環境改善にも資する情報が得られた。
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Strategy for Future Research Activity |
貯蔵施設内の空中浮遊菌(カビ)濃度の属種を把握するとともに、そのフローラの変遷を把握することにより、食品安全・公衆衛生の観点から、より精度の高いリスク評価を行うことができる。よって今後は集菌された真菌(カビ)についてその同定を試みる予定である。また電気集じん装置を用い、供試菌を浮遊させ電気集じん処理後の菌数を評価することにより、農産施設内における空中浮遊菌の殺菌に資する基礎的知見を収集を試みる。このことより、電気集じん技術と24年度に基礎的知見が得られた水中殺菌技術を併用させ、農産施設内でも実現可能となる空中浮遊菌の殺菌法に関して、スケールアップをかんがみた開発研究を推進させる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
該当なし
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Research Products
(2 results)