2013 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24580364
|
Research Institution | Iwate University |
Principal Investigator |
小出 章二 岩手大学, 農学部, 准教授 (70292175)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高木 浩一 岩手大学, 工学部, 教授 (00216615)
|
Keywords | 農産施設 / 空中浮遊菌 / カビ / 同定 / 電気集じん / 公衆衛生 / 捕集 |
Research Abstract |
平成25年度は、青果物貯蔵施設内の空中浮遊菌をエアサンプラーで収集し、得られた菌(カビ)を継代培養し、菌株の28S rRNA(カビ)遺伝子配列を増幅させ、direct sequencing により塩基配列を決定後、同定した。その結果、リンゴ貯蔵庫内のカビのフローラは Penicillium rugulosum, Penicillium sp., Cladosporium cladosporioides, Fusarium sp. がメインであった。リンゴ貯蔵において問題となるパツリンを産生するP. expansum は検出されなかったが、本実験で同定された菌株はカビ毒を生産するものもあり、また喘息などのアレルギーあるいは真菌症の原因となる菌株もある。併せて、浮遊真菌濃度は屋内環境としては高く、公衆衛生学的観点から農産施設内の空中浮遊菌の殺菌(捕集)の必要性が示された。 更に平成25年度は、静電気力により気体中の浮遊粒子を捕集する電気集じん法に着目した。本研究では、電気集じん装置を作製し、空気と混合したドライイースト粉末(Saccharomyces cerevisia)を空中浮遊菌のモデル材料として用い、種々の相対湿度条件下での装置の微生物捕集能力を測定した。併せて、放電極への印加電圧極性を変化させた場合の微生物捕集能力も測定した。その結果、電気集じん装置は、高湿度および低湿度環境の両方において空気中の微生物を捕集できた。印加電圧極性については、正極性高電圧より負極性高電圧のほうが微生物の捕集に適することが示された。 以上、本研究では空中浮遊菌の殺菌(捕集)法に関して、昨年度開発した水中殺菌装置(浮遊菌を混入した空気を水中にて光触媒とUVライトで殺菌)に加えて新たな手法(電気集じん法)を得た。得られた知見は、農産施設内の空中浮遊菌の殺菌に資する知見を与えるものである。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は最終的に、①「農産施設内の空中浮遊菌濃度の調査および同定とリスク評価」と、②「電気集じん技術・水中殺菌技術を併用した空中浮遊菌の殺菌」、③「現場に適応可能な空中浮遊菌の殺菌技術の提案と、リスク評価から農産施設内における食品の安全性向上や労働環境改善に資する情報の提案」を行うことを目標としている。研究実績の概要に記したように、本研究は現時点で、上述した目標に向かって大きく前進していると判断する。
|
Strategy for Future Research Activity |
来年度は、電気集じん技術・水中殺菌技術を用いて、農産施設内の空中浮遊菌の殺菌について試みる。また、新しい殺菌手法として紫外線殺菌によるカビ胞子の殺菌特性について測定するとともに、紫外線殺菌による農産物市場病の抑制効果についても検討する予定である。以上、得られた結果を取りまとめ、空中浮遊菌の効率的な殺菌技術や農産施設の空間内の新たな衛生管理手法を提案し、学会等で発表を行う。
|
Research Products
(3 results)