2014 Fiscal Year Research-status Report
薬用植物の高効率生産のための生育ステージ別環境制御技術の開発
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24580365
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
彦坂 晶子 千葉大学, 園芸学研究科, 准教授 (50345188)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石神 靖弘 千葉大学, 園芸学研究科, 助教 (50361415)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 薬用植物 / ウラルカンゾウ / 環境制御 / グリシルリチン / ニホンハッカ / メントール / 紫外線(UV) |
Outline of Annual Research Achievements |
生薬原料としての品質を満たす甘草の効率生産のために、太陽光利用型植物工場(環境制御型の温室)で甘草の栽培を行った。今年度は改良型(簡易)水耕栽培装置を設置し、薬効成分が高濃度となる系統の甘草を夏季から秋季まで栽培した。 温室で栽培した株は生育の個体差が大きかったことから、それらを同様に扱うと環境条件などの処理による影響が不明瞭になる。そこで今年度は、地上部および根の直径で株を数グループに分けた後に人工気象室内でUV照射および貯蔵温度処理を行い、薬用成分の高濃度化に必要な条件の組合せを明らかとした。このことで、比較する株のばらつきが減り、処理の影響がより明確になったと思われた。また、乾燥時の温度の影響については、同一の株の根を分割することで熱風乾燥または凍結乾燥の差を明確にできたと思われた。 従来の生薬加工法では、収穫後に貯蔵せず温熱乾燥を行うが、本試験では収穫した株の根を分割して貯蔵温度処理を行い、凍結乾燥後の薬用成分濃度を測定し、従来法との比較を行った。その結果、乾燥温度が高い従来法に比べ、低温での貯蔵処理および凍結乾燥により、主要薬用成分濃度の低下を抑え、あるいは薬用成分濃度を高められることが明らかとなった。また、高濃度系統で根を十分に成長させた場合であっても、栽培条件によってはグリシルリチン濃度が2.5%に満たない場合があることが明らかとなった。
昨年度に引き続き、ニホンハッカのUV処理を行い、暗期UV照射がニホンハッカのメントールなどの精油成分濃度を高める可能性を見いだした。しかし、葉位によってUV-AやUV-Bに対する反応が一定ではなく、葉位によってUV受光量が異なったことが理由と考えられた。よって、今後もUVの照射量、照射部位などと精油成分濃度との関連について研究を継続する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ニホンハッカに加え、今年度はウラルカンゾウに関する知見を得られた。ウラルカンゾウは漢方処方の中で最も重要な薬用植物であることから、温室栽培のウラルカンゾウで薬用成分濃度を高められる成果を得られた意義は大きい。ニホンハッカについてもある程度の知見を得ているが、葉位ごとのUV受光量と精油成分濃度との関連について、より詳細な解析が必要である。
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Strategy for Future Research Activity |
ニホンハッカについて、UV受光量と精油成分濃度との関連について、より詳細な解析を行う。ニホンハッカの成育の揃いが悪い場合、同じシソ科の赤ジソ(生薬、蘇葉)や、ハーブであるバジルなどを材料に用いる予定である。UV照射処理を行っている際の葉位ごとのUV受光量を詳細に測定し、精油成分濃度との関連を調査する。 ウラルカンゾウについては、研究成果を得られたことから次年度は実施しない予定である。
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Causes of Carryover |
分析に使用する試薬が為替影響により、昨年度より安価に入手できた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
分析精度を高めるため、HPLCカラムなどを購入する予定である。
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Research Products
(2 results)