2012 Fiscal Year Research-status Report
磁性ナノビーズを用いた畜産施設排水に残留する抗生物質の磁気分離
Project/Area Number |
24580369
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
井原 一高 神戸大学, (連合)農学研究科(研究院), 准教授 (50396256)
|
Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
|
Keywords | 磁気分離 / 磁気シーディング / 抗生物質 / 畜産廃水 |
Research Abstract |
畜産廃水の共存物質に対応可能な磁気シーディング法の確立と専用磁性ビーズについて検討を行った。 動物用抗菌剤の磁化率は小さいため,磁気力で牽引するためには磁気シーディングによってみかけの磁化率を拡大させる必要がある。本研究では,鉄電極を用いた電気化学反応によって鉄イオンを溶出させ、抗生物質との錯化合物を生成させた上で磁性ビーズを添加する方法を採用した。電気化学反応によって溶出させた鉄化合物に対する合成廃水に含有するテトラサイクリン系抗生物質の吸着は,Langmuir の吸着等温式に当てはまることを確認した。一方,搾乳施設廃水に添加した抗生物質に対しては吸着挙動が異なり,共存物質の影響を大きく受けることが判明した。特に影響の大きい物質を明らかにした。 本磁気シーディング法で必要とする磁性ビーズについては,粒子径の他に分散性と経済性の両立が必要である。多糖類でコーティングさせた磁性ビーズは分散性は良好であるが,試薬が高価であり環境技術への利用は難しい。そこで,比較的安価な界面活性剤によるコーティングを試み,分散性と経済性の両立を試みた。界面活性剤コーティング磁気ビーズを試作しテトラサイクリン系抗生物質の連続磁気分離に適用したところ,高い除去率を得ることが可能であった。また,外部磁場強度を増加させると除去率が向上したところから,磁気回路設計を含む専用磁気分離装置の開発が必要であると考えられた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
動物用抗菌剤の磁気シーディング法確立に必要な要素技術の検討は順調に進捗した。しかし,共存物質の影響軽減法については,予想以上に困難な課題であることが判明した。より一層研究に注力する必要がある。
|
Strategy for Future Research Activity |
磁気シーディングにおける共存物質の影響軽減,永久磁石を用いた磁気分離装置の開発,そして分離除去後の抗生物質の無害化手法の確立の3点に集約される。 共存物質の影響軽減については,抗生物質だけではなくキレート結合を利用した磁気分離排水処理における共通の課題である。環境負荷に留意しつつ効果的な磁気シーディング前処理法の開発を行う。磁気分離装置の開発においては,永久磁石の限られた磁場空間において勾配磁場を拡大させることのできる装置が必要になる。磁気フィルタを含め,磁気工学の専門家の支援を得ながら開発を進める。分離除去後の抗生物質の無害化については,本事業で取り組んでいる磁気分離プロセスと一体となって確立すべき技術であり,電気化学反応の応用を広げ,抗菌活性の不活化と抗菌剤の無害化を可能にするプロセスを開発する。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
主として,消耗品としての支出を予定している。特に,抗生物質の機器分析に必要な消耗品と永久磁石分離装置に必要な部材を購入する計画である。また海外の国際会議での成果発表を計画した。
|