2012 Fiscal Year Research-status Report
バイオマスを構成する元素割合が発熱量・溶融温度等の熱的特性に及ぼす関係の解明
Project/Area Number |
24580377
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構 |
Principal Investigator |
小林 有一 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構, 中央農業総合研究センター作業技術研究領域, 主任研究員 (10355513)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | バイオマス / 発熱量 / 溶融温度 / 蛍光X線分析 |
Research Abstract |
供試材料として,稲,ムギ,ナタネ,ヒマワリの収穫残さに加え,マツヨイグサ類雑草,ヒルガオ科雑草,ダイズ収穫残さ,トマト廃苗,キュウリ廃苗等を用い,発熱量,灰分等の熱的物性を測定した。 溶融状況の調査方法については,JIS M8801に準拠して,試験材料を灰化したものを三角錐に成型し,マッフル炉内で加熱し,変化の様子を観測した。また,予備試験の結果,1,100°C以下で溶融していたサンプルについて,示差熱熱重量同時測定装置(sii TG/DTA6200)により,試料の示差熱を測定した。試料はあらかじめ灰化しておき,室温から850°Cまでは50°C/minで,850°Cから1,000°Cまでは5°C/minで昇温させた。 成分分析については蛍光X線分析装置で行った。材料は105°C/24hで乾燥後,ミルで粉砕・調製し,試料容器(φ32mm,8mL)に,ポリプロピレンフィルムで封入したものを,測定試料とした。測定はFP法とし,試料のバックグランドをセルロースと設定して他の元素について測定した。 溶融試験の一例として,コムギ残さでは,940°Cで軟化した後,1,050°Cで融点となった。1150℃では完全に溶流した。同じサンプルをTG/DTAで測定したところ,融点付近でDTA曲線に緩やかな吸熱ピークが見られたが,その他の温度帯でも見られており,まだ不明な部分があった。 発熱量の実測値と,1)灰分量から発熱量を推定する式(文献値)から求めた発熱量と,2)蛍光X線分析装置による灰分量算出値から求めた発熱量を比較して,本手法での発熱量の推定精度を検討した。サンプルのうち最も誤差の小さかったアシでは,その誤差は+6.3%であったが,ヒマワリでは+31.6%であった。傾向的には,全体的に推定値のほうが実測値よりも高い値を示した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
供試材料としては,当初次年度以降に予定していた施設園芸から排出されたトマトやキュウリの廃苗や,雑草等のサンプルを入手し発熱量,灰分等のデータを取得するなど計画よりも進んだ。灰の溶融温度の測定では,手法間で測定値が異なることが分かり,実際の燃焼炉での問題の再現をする方法の決定に至らず,さらなる検討が必要であることが分かった。全体としては,おおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
供試材料品目を追加しながら,各種熱分析および蛍光X線分析装置での元素分析を継続して行う。材料の品目について,発生の実態,ふ存量について現地の実態調査をしながら追加していく。灰の溶融については,実験室での分析値では手法によりばらつきがあることが分かったため,燃焼施設で実際に発生している灰を供試材料とすることを検討する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
該当なし
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