2013 Fiscal Year Research-status Report
バイオマスを構成する元素割合が発熱量・溶融温度等の熱的特性に及ぼす関係の解明
Project/Area Number |
24580377
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Research Institution | National Agriculture and Food Research Organization |
Principal Investigator |
小林 有一 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構, 中央農業総合研究センター作業技術研究領域, 主任研究員 (10355513)
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Keywords | バイオマス / 発熱量 / 農業残渣 / 蛍光X線分析 |
Research Abstract |
本研究では、これまでに稲ワラ、施設園芸残さ(トマト廃苗、キュウリ廃苗)、丸葉雑草等を対象とした。本年度は供試材料の品目について、森林間伐材として、スギ、サワラなどの針葉樹、竹および堆肥を追加した。これら材料で実際の利用時における荷姿を想定して、各項目の分析を行った。その結果、溶融温度が低かった雑草類に稲ワラを混合させたペレットでは、目標とした溶融温度1000 °C以上を達成した。溶融温度については、実験室での試験に加え、依頼分析をしたところであるが、比較試験での再現性に隔たりがあった。そこでより正確なデータ取得のため、これまでやってきたJISに準拠した、三角錐の試験あるいはTG/DTAによる方法に加え、傾斜させた舟形ボートの流下距離を測定する方法、目視による判定などで実施したが、試験した温度帯では装置によるサンプルの量制限や流動性の点から、材料間の差異を明らかにすることが困難であった。本研究で求めている結果を得るには更なる検討が必要であった。 蛍光X線分析装置での分析結果から、発熱量および灰分を推定する算定式については、引き続きデータを追加等により、精度向上に努めた。新たに堆肥の混合物で実施したが、蛍光X線では他の軽元素と判別できない窒素成分が多く、実測値との差が大きい結果となり、今後の課題であった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
25年度においては、材料品目の追加と、熱分析過程での測定項目の追加、蛍光X線分析での材料調製および現地の実態調査を計画していた。材料品目については、森林間伐材として、スギ、サワラなどの針葉樹、竹および各種の堆肥を追加し、順調に進捗している。 熱的な性質の分析に関しては、灰の溶融については、さらに追加で分析や評価の手法について改良が必要であると考えるが、発熱量、灰分については、順調にデータの蓄積をしており、同時に元素組成のデータも蓄積できている。蛍光X線分析での分析精度向上に関しては、新しい粉砕機を導入したことで、材料調製精度が格段に向上し良好な結果を得ていると感じている。全体としては、おおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
目的としていたバイオマスの各種の熱的な性質については、発熱量、灰分、元素組成については、当初の計画である作物残さに加え、木質や竹、堆肥などを追加し、幅広く網羅できている。しかしながら、灰の溶融温度については、軟化点、融点、溶流点の区別が不明瞭な材料や、保有している電気炉では性能が不十分な材料があり、相互の関係を明らかにするところまでに到達していない。その中でも、TG/DTAによる手法と目視による判定が、比較的再現性が高く、また実用面でも利用しやすいことから、実体顕微鏡での判定の数量化とTG/DTAでの分析を併用した方法で試験を進めて行きたい。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
海外での学会発表および調査費について、日程の短縮や格安航空券の利用等により、当初の見積もりよりも、経費が抑えることができたため。 次年度使用額244,375円は、灰の溶融温度測定試験に必要な消耗品(測定皿、熱分析用の測定パン)の購入に使用し、次年度に請求する研究費と合わせて、研究計画遂行のために使用する
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