2012 Fiscal Year Research-status Report
ニンニク茎葉給与ヒツジにおけるタンパク質合成の消化・内分泌機能制御
Project/Area Number |
24580385
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Iwate University |
Principal Investigator |
佐野 宏明 岩手大学, 農学部, 教授 (20196306)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | ヒツジ / ルーメン発酵 / 農産廃棄物の有効利用 / 消化 / 栄養素代謝 / 微生物態タンパク質 / インスリン作用 / 同位元素希釈法 |
Research Abstract |
【目的】ニンニクは薬理効果を持つハーブとして知られており、その球根部の粉末や抽出液は栄養補助飼料として利用されている。しかし、ニンニク茎葉部は球根収穫後に廃棄され、ほとんど利用されていない。ニンニク茎葉部に有用な効果があれば、飼料添加物として利用することができる。本研究ではニンニク茎葉を反芻家畜用の飼料として有効利用することを目的とした。 【方法】実験には8連式人工ルーメン装置(ルシテックS、申請設備備品)を使用した。培養に使用したルーメン内容液はルーメンフィステル装着ヒツジ2頭から採取した。実験は1期7日間の2実験区、5水準、3反復とした。実験区としてニンニク茎葉区(GL区)と粉砕ニンニク球根区(GB区)を設定し、細切した混播乾草の培養量は17.4g/日とした。GL区は混播乾草の0、3、6、12、24%(DM%)のニンニク茎葉を添加した。GB区は粗飼料の0、1、2、4、8%(DM%)の粉砕ニンニク球根を添加した。飼料をナイロンバッグに封入し、培養48時間で回収した。培養24時間ごとに流出液および培養液を採取し、培養液pH、揮発性脂肪酸(VFA)産生量およびアンモニア濃度を測定した。実験7日目にはメタン産生量を測定した。 【結果】培養液の流出液量は4日目以降ほぼ安定し、培養液pH、VFA産生量、アンモニア濃度もほぼ一定の値が得られた。培養液pHは実験区の間に差は見られなかった。4日目から7日目までの24時間ごとのVFA産生量およびアンモニア濃度は実験区の間に差がなかった。7日目のメタン産生量はニンニク添加によって変化し、GL24%区が0%区とGL6%区よりも低かった(P<0.05)。 以上の結果から、人工ルーメン装置の使用によってルーメン発酵の測定が可能であること、また、本実験システムにおいてニンニク茎葉と粉砕ニンニク球根添加による影響は限定的であることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
人工ルーメン装置(ルシテックS、申請設備備品)を導入し、ルーメン内容物を7日間にわたり連続培養した。その結果、培養液のpH、VFA産生量、アンモニア濃度から培養開始4日目以降ほぼ安定したルーメン発酵が得られると判断した。したがって、4日目以降のデータを採用することとした。なお、メタン産生量は7日目のみ測定した。 ニンニク茎葉および粉砕ニンニク球根添加によってルーメン発酵はほとんど影響されなかった。ニンニク茎葉添加の効果が明確ではなかった理由として、ニンニク茎葉を生の状態(収穫後冷凍保存し、解凍したもの)で添加したため、現物としての添加量がかなり多かった。その結果、ルーメン発酵に顕著な影響が得られなかったという可能性が考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
上記の解決策として収穫後のニンニク茎葉を凍結乾燥した後、培養液の飼料に添加するという方策が考えられる。昨年度と同様に人工ルーメン装置を用い、凍結乾燥ニンニク茎葉を添加した実験を実施して結果を得る。その後、当初2年目に計画していたin vivoの実験を実施する。すなわち、ヒツジにニンニク茎葉添加飼料を給与し、飼料の消化性、ルーメン発酵、微生物態タンパク質合成量を測定する。さらに、 [1-13C]ロイシン法の同位元素希釈法を用いてヒツジのタンパク質合成量を測定する。以上の実験を実施し、ニンニク茎葉によるヒツジのタンパク質代謝制御を明らかにする。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
該当なし
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