2013 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24580392
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Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
入江 正和 宮崎大学, 農学部, 教授 (30333438)
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Keywords | 肉質評価 / 牛肉 / 豚肉 |
Research Abstract |
食肉の物性(脂肪交雑やきめ、やわらかさ)を評価することは、肉の高品質化や多様化にとって重要であり、本研究は画像解析法を中心とした光学的新システムによって、それらを客観的、迅速に評価しようというものである。 今年度は、実験の一つとして、マイクロスコープ法を応用し、和牛肉における系統間の肉のきめ(第一次筋束の大きさ)に差が出るのかどうかを検討した。なお、きめは枝肉格付基準だけでなく、食感や多汁性にも影響する重要な形質である。特に、和牛では増体系統と資質(肉質)系統があり、その特徴付けにもなるものであり、また新たな育種選抜形質として役立ち、さらに海外のWagyuとの競争形質にもなるとみられる。資質系と増体系の和牛のきめを比較した結果、資質系できめ(マイクロスコープの評価値)が小さい傾向にあった。 次に2番目の計画として、豚肉において著者らの開発した栄養操作による脂肪交雑豚肉と、遺伝による脂肪交雑豚肉の筋肉内脂肪の状態を比較した。その結果、特に違いは観察されなかった。なお、栄養操作による方法には他の研究者が提唱するいくつかの方法があり、方法によってはロース面積が小さくなったり、しまりが劣ったりするという報告もあるので、このあたりはさらなる検討が必要かもしれない。 また、現時点では、きめや脂肪交雑の画像解析計測でマニュアル操作が入るので、時間がかかるが、凍結切片法に比べると、マイクロスコープ法では生肉上で短時間に実施でき、さらに画像判読のしやすさが格段に良かった。 紫外線蛍光システムでは、新たな機器の開発の基礎とするため、器機メーカーの協力により紫外線蛍光分析装置を肉質分析用に改良し、実験を行った。紫外線と肉質評価に対する基礎的知見-紫外線照射角度などと蛍光強度(画像ではなく分光分布)に関する検討をしたところ、紫外線照射法により、肉組織の蛍光は大きな影響を受けることがわかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
牛肉のきめと豚肉の脂肪交雑に関するマイクロスコープ法の応用に関しては概ね順調であり、特に牛肉のきめの評価結果で実用性も期待される成果が出つつある。 紫外線蛍光システムについては、計画よりやや遅れた感はあるが、基本に立ち返って、紫外線照射条件と結合組織と脂肪組織の蛍光に関する基礎データを得、ゆっくりではあるが、着実に進歩させようとしている状況にある。
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Strategy for Future Research Activity |
牛肉のきめに対するマイクロスコープ法に関しては、予定通り、検体数を重ねて、有意差が出るかどうかまで、検討してゆく予定である。 豚肉の脂肪交雑に対するマイクロスコープ法に関しても、予定通り、検体数を重ねて、検討してゆく予定である。 また、マイクロスコープ法全般に関して、より良い方法とするための検討を進める。 紫外線蛍光システムについては、現在、積み上げつつある基礎データを基にして、基本的なシステム案(条件)を出す予定である。 なお、大学を本年4月から異動したこともあり、現時点では器機類の移動の遅れの関係、さらに、こちらでは院生もいないため、研究の遅れが懸念されるが、できるだけそれらを克服するようにしたい。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
出張費に関して、既に方法論は学会発表しているが、さらなる応用成果としてはデータ数が不足しており、現在、発表を見合わせている等の理由のため、余剰が生じている。 紫外線蛍光では、予算が不足しており、光学メーカーに無償で協力してもらっている状況にあり、また、試料費もかさむため、これら(物品費)に主に利用する予定である。
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