2014 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
24580397
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
向井 孝夫 北里大学, 獣医学部, 教授 (20229917)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 乳酸菌 / ビフィズス菌 / ムチン / 付着 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成25年度までに、Lactobacillus 乳酸菌において、1)翻訳伸張因子であるEF-Tuが腸粘膜に存在するムチンに付着すること、2)その結合エピトープは硫酸化糖鎖であること、3)シグナル配列を持たないEF-Tuが細胞外へ確実に分泌されていること、4)Campylobacterやピロリ菌の感染を一定のレベルで抑制すること、5)Ef-TuはLactobacillusのみではなく、Bifidobacteriumにおいてもムチンへの付着因子であることを明らかにしてきた。平成26年度では、EF-Tuと同様にLactobacillusにおいてムチン付着因子として示唆されているSpaCのムチン付着性および糖鎖結合エピトープを調べることとした。 SpaCはL. rhamnosusで発現しているムチン付着因子であることが報告されてきたが、SpaCの結合エピトープは、ほとんど明らかにされていなかった。我々は、大腸菌を宿主としたSpaC組み換えタンパク質を作製し、ムチンおよびマウス大腸粘膜切片に対するSpaCの結合特性を評価した。競合ELISAの結果、SpaCは精製ムチンとムチンオリゴ糖の添加により結合が阻害された。次に、SpaCの組織化学的染色により、マウス大腸粘膜切片に対する結合性は、過ヨウ素酸処理により低下した。さらに、種々の複合糖質との相互作用を表面プラズモン共鳴を用いて評価した。SpaCは、非還元末端がガラクトシル基である糖脂質に高い結合性を示した。以上より、SpaCはムチンの糖鎖を介して腸粘膜へ結合し、さらに非還元末端がガラクトシル基の構造をもつ複合糖質がSpaCの結合に必須であることを示した最初の研究である。本研究では、LactobacillusにおいてEF-TuおよびSpaCがムチン付着因子であるが、その結合エピトープは、全く異なることを示した。
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