2013 Fiscal Year Research-status Report
抗酸化機能欠損マウス卵を用いた染色体異数性発症機構の解明による新規IVM法の開発
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24580405
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
木村 直子 山形大学, 農学部, 教授 (70361277)
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Keywords | 減数分裂 / 卵母細胞 / 異数性 / 酸化ストレス / 老化 / 発生障害 / IVM / 紡錘体形成チェックポイント |
Research Abstract |
本研究では、減数分裂時の紡錘体の形態異常や染色体異数性の原因因子とそれらの制御カスケードを特定することを目的に、抗酸化機能遺伝子を欠損させた3種のマウス(SOD1KO, xCTKO, ALRKO)卵を利用し、酸化ストレス条件下で頻発する発生異常卵を解析している。 平成25年度は、20%酸素濃度下の培養系で異数性を頻発するSOD1KOマウス卵における紡錘体形成チェックポイント(SAC)構成因子であるBubR1とコヒーシンたんぱく質であるRec8の発現動態を調べた。その結果、染色体の分離異常を起こしやすい第一減数分裂中期では、卵全体のBubR1の発現量はWT卵でもSOD1KO卵でも変わらないものの、染色体動原体上に局在するBuBR1の発現シグナルは、SOD1KOマウス卵で低下している傾向がみられた。一方、Rec8の発現局在にはゲノタイプによる大きな違いはみられなかった。またSOD1KOマウス卵の異数性パターンから、多くが染色体早期分離を引き起こしていた。以上の結果から、減数分裂時の酸化ストレスが、SAC因子の動原体上への正常な局在を妨げ、SAC機能を低下させ、異数性を誘引していることが考えられた。 平成26年度は、BubR1の動原体への局在を制御する上流因子を特定するとともに、老化個体由来の卵で同様の解析を行い、加齢と酸化ストレスによる異数性の発生機序にどのような違いがあるのかを明らかにする。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の目的は、減数分裂時の異数性の発生に最も影響を及ぼす原因因子とそれらのカスケードの特定であるため、最も異数性を頻発しやすいSOD1KO卵を用いた解析を先行させた方が効率的と考えている。そのため、研究計画にあるxCTKOマウス卵、ALRKOマウス卵、またそれぞれのゲノタイプの老化個体由来卵の染色体異数性の詳細な解析が遅れているが、SOD1KO卵での結果と比較する必要が生じた場合に、適宜他系統の抗酸化機能欠損マウス卵で解析を実施する。 平成26年度は、老化個体のSOD1KO卵の解析も併せて行い、染色体異数性を防ぐIVM法の検討についても、実施する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度の研究結果から、異数性の原因としてSAC因子の動原体への局在低下を明らかにしている。平成26年度は、特にBubR1の動原体への局在を制御する上流因子の同定を目指す。これらを明らかにできれば、染色体異数性を防ぐIVM法の開発に繋げられるものと考えている。 さらに平成26年度は、老化個体由来卵で頻発する卵の異数性の原因とSOD1KO卵でみられる異数性の原因を比較検討し、同様の発生機序であれば、このSOD1KO卵をモデルに、染色体異数性を防ぐIVM法の検討を行うことで、老化卵で頻発する異数性を卵成熟培養系でレスキューできるかについて検証する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
端数が生じたため。 次年度に繰り越す。
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Research Products
(10 results)