2012 Fiscal Year Research-status Report
品種内発現プロファイリングに基づくゲノム解析によるブタ増体関連マーカーの同定
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24580406
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
山田 宜永 新潟大学, 自然科学系, 教授 (40253207)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 家畜ゲノム |
Research Abstract |
ND1、ND4、TTN、EEF1A2およびTSG101をブタ増体形質原因遺伝子のpositional candidateとして取り上げることで、本年度、増体能力がきわめて高いランドレース種個体群とその能力がきわめて低い個体群の間におけるDNA多型を検出すること、および検出されたDNA多型のタイピング法を確立することを行った。 データベース検索により得られたND1、ND4、TTN、EEF1A2およびTSG101のゲノム配列に基づき、各遺伝子のプロモーター領域および転写領域をカバーするPCRプライマーの設計を行い、ランドレース種集団の中から、増体能力が極めて高い個体群とその能力が極めて低い個体群のゲノムDNAをPCR増幅の鋳型として用いたダイレクトシーケンスを行った。TTNについては、転写開始点上流2243bpの位置にA/TというSNPが、TSG101では、転写開始点上流549bpの位置にT/AというSNPが、EEF1A2では、転写開始点上流2613bpおよび3003bpの位置にG/AおよびT/C というSNPが存在し、高増体能力群と低増体能力群の間でアリル頻度分布に差がみられた。さらに、ND1転写領域、ND4転写領域および転写制御領域をもつDLOOP領域では、それぞれ20個、16個および21個の多型が検出され、4個のハプロタイプから構成されることを明らかにした。 これらの多型について、PCR-RFLP法、ミスマッチPCR-RFLP法およびダイレクトシーケンス法によるタイピング法を確立した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
ランドレース種集団において、増体形質と相関を示すDNA多型および組み合わせDNA多型群を明らかにしていくために相関解析を行う必要がある。相関解析に必要なランドレース種個体群の選定、さらにはそれらの個体からのゲノムDNA抽出用サンプルの採取をすでに終了している。また、それらの個体の増体能力を、個体自身の直接効果に関する育種価に加えて、母性効果(母畜の母性効果に関する育種価と永続的環境効果)および母系家系の効果を含む混合モデルのBLUP法により予測および推定することもすでに終了している。こうして、当初の計画以上に研究が進展している。 さらに、ランドレース種内での発現プロファイリングを引き続き行うことで、高増体能力群と低増体能力群との間で発現パターンが異なる遺伝子をさらに同定しており、その中からATP5C1、HADHA、COQ3、MYH7、ATP5BおよびMYH1を増体形質原因遺伝子の位置的機能的候補として選定している。
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Strategy for Future Research Activity |
ランドレース種集団のゲノムDNAを鋳型に用いることで、多型タイピングを行う。さらに、相関解析により、増体能力(増体形質に関する育種価あるいは細胞質遺伝効果の推定値)に対して有意な効果をもつDNA多型を明らかにする。ND1とND4のDNA多型の相関解析では細胞質遺伝効果の推定値を、TTN、EEF1A2、TSG101のDNA多型の相関解析では育種価を増体能力として取り扱う。次に、前者では多型のアリルタイプ、後者では多型の遺伝子型を母数効果として取り入れた統計モデルを採用し、SAS GLMプロシジャにより解析を行う。また、TTN、EEF1A2、TSG101のDNA多型の相関解析では、多型の遺伝子型の母数効果に加えて父畜さらには母畜を変量効果とした取り入れた統計モデルを採用し、SAS MIXEDプロシジャにより解析を行う。 3つのpositional functional candidate (TTN、EEF1A2、TSG101)のそれぞれについては、上記でえられた、増体形質と有意な相関を示すDNA多型のタイピングデータから、Haploviewプログラムを利用して、ハプロタイプブロックを推定する。PHASEプログラムあるいはSimWalk2プログラムを用いることで、ブロック内のDNA多型群についてのそれぞれの個体でのハプロタイプを推定する。また、ND1とND4を含むミトコンドリアゲノム上で増体形質と有意な相関を示すDNA多型のタイピングデータを統合することで、ミトコンドリアゲノム上のDNA多型群についてのそれぞれの個体でのハプロタイプを決定する。 DNA多型のアリルタイプ・遺伝子型を、このようにしてえられた組み合わせDNA多型群についてのハプロタイプに置き換え、上記と同様の相関解析を行い、増体能力に対して有意な効果をもつ組み合わせDNA多型群を明らかにする。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
相関解析に用いるランドレース種個体群より採取されたサンプルからゲノムDNAの抽出を行うための試薬、および確立されたタイピング法に基づき当個体群のDNA多型のタイピングを行うための試薬、つまり、DNA抽出用試薬、PCR用試薬、泳動用試薬およびプラスチック器具類の物品費に研究費を用いる。また、成果発表のための旅費として研究費を用いる。
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Research Products
(12 results)