2015 Fiscal Year Annual Research Report
凍結乾燥したウシ精子ならびに二倍体細胞からの胚盤胞作製システム
Project/Area Number |
24580407
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
保地 眞一 信州大学, 学術研究院繊維学系, 教授 (10283243)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 凍結乾燥 / ICSI / SCNT / コラプス |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、ウシの精子ならびに二倍体細胞についてDNA損傷を可能な限り抑えたFreeze-Drying (FD) 条件を決定し、顕微授精 (Intracytoplasmic Sperm Injection: ICSI) / 体細胞核移植 (Somatic Cell Nuclear Transplantation: SCNT) を介して正常な胚盤胞の量産するシステムを確立することである。まず、黄色ブドウ球菌ゲノム由来のヘモリジン変異体を作製し、トレハロースをウシ顆粒膜細胞内に導入したときの凍結乾燥耐性について調べた。トレハロース添加区の凍結乾燥ケーキにはコラプスは誘起されず、復水後の細胞の形態も正常に維持されていた。しかしアルカリコメットアッセイで調べた復水細胞におけるDNA損傷は、トレハロースの細胞内導入によって抑制できていなかった。結論として、トレハロースを細胞内に導入しただけではウシ顆粒膜細胞の凍結乾燥耐性を改善するには至らず、トレハロース合成開始をトリガーとして働くようになる「DNA損傷の修復機構」がより重要であると考えられた。次に、凍結乾燥ケーキが潰れてしまう”コラプス”という現象に着目した解析では、凍結乾燥バッファーの最大濃縮相ガラス転移温度 (Glass transition temperature of the maximally freeze-concentrated phase: Tg’) がコラプス発生に関係し、バッファーからのNaCl除去、トレハロース添加がTg’の上昇とコラプス抑制に有効なことを見出した。最後に、クローン胚盤胞作製システムを効率化するためにウシ未受精卵のガラス化保存に関する研究も行い、加温卵子の回復培養液にRho-associated coiled-coil kinase (ROCK) 阻害剤を添加すること、ならびにαトコフェロールを添加することが蘇生率改善に有効であると報告した。凍結乾燥したウシ精子のICSI、ならびにウシ繊維芽細胞のSCNTのいずれに由来する胚盤胞を作製することにも成功しているが、胚盤胞作製効率の低さが課題として残された。
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Research Products
(6 results)