2013 Fiscal Year Research-status Report
単為生殖型肝蛭のトリクラベンダゾール耐性を評価する虫卵孵化試験法の開発
Project/Area Number |
24580420
|
Research Institution | Iwate University |
Principal Investigator |
板垣 匡 岩手大学, 農学部, 教授 (80203074)
|
Keywords | 単為生殖型肝蛭 |
Research Abstract |
F. hepatica と単為生殖型肝蛭2倍体(ITS1型:Fg型、nad1 ハプロタイプ:Fg-C2型)のメタセルカリアをヤギに混合感染させ、得られた成虫のうちITS1型がFg型を示し、単為生殖型肝蛭2倍体であることが確認されたものを親世代とした。これを中間宿主(ヒメモノアラガイ)、終宿主(ラット)のステージを経て継代し、3倍体第2世代までを回収した。交雑により得られた3倍体第1世代成虫は全て3倍体・無精子型であり、ITS1型がFh/Fg型かつnad1 ハプロタイプがFg-C2型であったことから単為生殖型肝蛭2倍体を母方とする交雑により3倍体虫体が作出されたことが証明された。また、3倍体第2世代成虫も全て3倍体かつ無精子型であったが、ITS1型はFh/Fg型とFg型に分かれた。また、この第2世代は次世代虫卵の孵化率が有意に髙かった群(高孵化率群)と低かった群(低孵化率群)に分けられた。組織学的観察において第1世代および第2世代高孵化率群の精巣断面は対照とした単為生殖型肝蛭3倍体の精巣と同様、精原細胞と一次精母細胞が大半を占めており、単為生殖型肝蛭3倍体と同様、一次減数分裂に異常があると考えられた。一方、第2世代低孵化率群では精原細胞の増加が認められ、体細胞分裂異常が疑われた。また、卵巣の組織学的観察において第1世代および第2世代高孵化率群では卵原細胞および一次卵母細胞が対照とした単為生殖型肝蛭3倍体およびF. hepaticaと同様の分布を示した。一方、第2世代低孵化率群では卵原細胞の増加が認められ、体細胞分裂異常が疑われた。以上の結果から第1世代および第2世代高孵化率群では単為生殖型肝蛭3倍体と同様に精子形成は異常かつ卵発生は正常であると考えられた。現在、この第1世代および第2世代のTCBZ抵抗性についての感染実験を継続・実施している。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
TCBZ抵抗性肝蛭株の野外分離が困難であったため、Fasciola hepaticaと単為生殖型肝蛭2倍体を用いた交雑実験による作出を試みた。しかし、第1代子孫虫体作出の交雑実験におよそ8ヶ月間を要し、また第2代子孫虫体の作出にも同様に期間を要することから、実験の進行が遅れている。
|
Strategy for Future Research Activity |
TCBZ抵抗性肝蛭株の野外分離が困難であったため、交雑虫体のさらなる継代と解析を続け、交雑次世代虫体のTCBZ感受性・抵抗性に関する遺伝的解明とともに繁殖・発生機構を解明する研究にシフトする必要がある。そのためには信頼性の高い交雑マーカーを確立し、親世代と交雑子孫虫体のDNAを含む分子学的特性を解明する。
|
Research Products
(19 results)
-
-
[Journal Article] Morphological and molecular characterization of Explanatum explanatum from cattle and buffaloes in Myanmar.2013
Author(s)
Ichikawa, M., Kondoh, D., Bawn, S., Maw, N. N., Htun, L. L., Thein, M., Gyi, A., Sunn, K., Katakura, K. and Itagaki, T.
-
Journal Title
J. Vet. Med. Sci.
Volume: 75
Pages: 309-314
Peer Reviewed
-
-
[Journal Article] Vaccine potential of recombinant cathepsin B against Fasciola gigantica.2013
Author(s)
Pathanin Chantree, Manussabhorn Phatsara, Krai Meemon, Pannigan Chaichanasak,Narin Changklungmoa, Pornanan Kueakhai, Natcha Lorsuwannarat, Kant Sangpairoj, Sineenart Songkoomkrong, Chaitip Wanichanon, Tadashi Itagaki, Prasert Sobhon
-
Journal Title
Experimental Parasitology
Volume: 135
Pages: 102-109
Peer Reviewed
-
-
-
-
-
[Presentation] アジア産肝蛭の分子系統解析:ネパールおよびフィリピン産肝蛭の分子学的解析2014
Author(s)
正力 拓也,関 まどか,Bhuminand Devkota, Hari B. Rana, Shiva P. Devkota, Sudeep K. Humagain, Elena A. Villacorte,Pilarita T. Rivera,板垣 匡
Organizer
第83回日本寄生虫学会大会
Place of Presentation
愛媛大学城北キャンパス
Year and Date
20140327-20140328
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-