2012 Fiscal Year Research-status Report
「細胞外pHをセンスするG蛋白共役型受容体」を介した血管形成、機能の解析
Project/Area Number |
24580436
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Meiji University |
Principal Investigator |
戸村 秀明 明治大学, 農学部, 准教授 (70217553)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | G蛋白共役型受容体 / ゼブラフィッシュ / プロトン / 生理活性 / シグナル伝達 |
Research Abstract |
血管の形成やその機能は、組織・器官の生存や機能発現に重要な役割を果たす。生殖器官においても、血管の新生、増殖、退行や透過性の変化が観察される。血管の形成やその機能の調節は生殖の効率に多大な影響を及ぼすが、そのメカニズムは未解明の部分が多い。血管の形成や機能は、組織内部への酸素の供給不足の結果引き起こされる低酸素、低pH(酸性)などの微小環境によって影響をうける。低酸素状態に関してはVEGFシステムを介した血管の新生を誘導する系の解析が進んでいる。一方、低酸素に付随して生じる低pH状態も血管の機能に影響を与えることが知られている。しかしながらどのような機構で血管機能を制御しているのかは全く不明である。OGR1、GPR4、TDGA8、G2Aは細胞外プロトンを感知するユニークなGPCR群であることが我々のものを含め、報告されている(OGR1ファミリー)。我々はpHの低下に伴う血管の機能の調節に、このファミリーが関与するものと考えている。この仮説の検証を目指し本年は、ゼブラフィッシュのゲノムデータベースに存在するOGR1ファミリーの各ホモログが、ヒト、マウスのものと同様に、細胞外プロトンを感知し活性化するのかどうかを調べた。ゼブラフィッシュ受容体のコーデイング領域を発現ベクターに挿入後、HEK293細胞に強制発現させ、pHの低下によりSREプロモーターが活性化するのかどうかを測定した。その結果、細胞外プロトンによりSREプロモーターの活性化が観察された。すなわち、ゼブラフィッシュに存在するOGR1ファミリーのホモログは、ヒト、マウスのものと同様に、細胞外プロトンを感知して活性化するGPCRであることが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ゼブラフィッシュOGR1ファミリー受容体がヒト、マウスの受容体と同様に細胞外プロトンを感知して活性化することが明らかとなった。 この結果は、OGR1受容体ファミリーの血管機能への役割を解明するために、胚が透明であり、血管の観察が容易であるゼブラフィッシュを利用することが可能であることを示唆している。
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Strategy for Future Research Activity |
今回の結果はHEK293細胞を用いて得られた結果である。ゼブラフィッシュを用いて、その受容体ファミリーの生理機能を解析するためには、この受容体ファミリーが魚類の細胞においても、HEK293細胞と同様の応答を示すことを示す必要がある。そのため、魚類細胞を理研細胞バンクより入手した。今後、この細胞を用いてゼブラフィッシュOGR1ファミリー受容体の応答を解析する予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
「該当なし」
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