2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24580442
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
大塚 弥生 北海道大学, (連合)獣医学研究科, 客員研究員 (30396303)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 耕太 北海道大学, (連合)獣医学研究科, 准教授 (50283974)
|
Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
|
Keywords | ボルナ病ウイルス |
Research Abstract |
ボルナ病ウイルス(Borna disease virus; BDV)は本来、馬の急性脳炎の原因ウイルスであるが、近年は人獣共通感染症の危険性が危惧されている。本研究は、BDVの感染経路の解明のため、受容体分子の同定を目指す研究である。今年度はその基礎を築くための研究ツールとして必要不可欠である、BDVのエンベロープ蛋白質(BDVG)を外殻にもつリコンビナントウイルスの作製とBDVGを認識するポリクローナル抗体の作製を主軸に行った。 抗体の作製;BDVGは細胞質外領域に15カ所のN-結合型糖鎖修飾を受ける蛋白質であり、これまで特異抗体の作製が困難とされていた。今回、比較的糖鎖修飾の影響が少ないと推測されたペプチド配列(350RLQTNTPEARPGLKR364)をもちいて、抗BDVGポリクローナル抗体の作製を行った。 リコンビナントウイルスの作製;BDVGを外殻にもつrVSVdG*/BDVGよりも効率的にウイルスを得るため、新たにLCMVを使用したリコンビナントウイルスの作製を試みた。BDVG遺伝子をLCMV-polymerase-I-Sベクターに組み込んだ発現ベクターを構築し、BHK細胞にLCMVの核酸、ポリメラーゼ、Z蛋白質を発現するプラスミド類と同時に遺伝子導入し、リコンビナントウイルスを作製した。作製したリコンビナントウイルスの感染性の評価をVero細胞で行ったが感染は認められず、感染実験には使用できないものと考えられた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は主に、全体の研究に必要な材料の準備を行った。リコンビナントウイルスrVSVdG*/BDVGはBDVGの細胞質内領域にGFPが融合しているため、合成時に障害となることから、ウイルス産生効率があまり高くないが、研究を進める上で、事実上問題ではない。作製した抗BDVGポリクローナル抗体は免疫沈降法や免疫染色に用いる予定である。その他の材料も今年度にすでに購入しており、研究はおおむね順調にすすんでいる。
|
Strategy for Future Research Activity |
BDVの感染に必要な宿主細胞受容体分子の同定を目標に、次年度はBDVが宿主細胞に接着・侵入する際に関わる分子の探索をはじめる。リコンビナントウイルスrVSVdG*/BDVGを株化細胞(Vero細胞など)に作用させ、高感染性を示す細胞クローンを得た後に、低感染性の細胞との発現遺伝子の相違を解析する研究と平行して、BDVGと特異的に結合しうる細胞膜成分の同定を、免疫沈降法やGST pull-down法などの分子生物学的手法、LCMSによる検索も用いて行う予定である。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
該当なし
|
Research Products
(5 results)