2014 Fiscal Year Annual Research Report
| Project/Area Number |
24580443
|
|---|
| Research Institution | Hokkaido University |
|---|
Principal Investigator |
中島 千絵 北海道大学, 人獣共通感染症リサーチセンター, 准教授 (60435964)
|
|---|
| Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 定彦 北海道大学, 人獣共通感染症リサーチセンター, 教授 (90206540)
|
|---|
| Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
|
| Keywords | Mycobacterium orygis / 人獣共通感染症 / バングラデシュ / ネパール / 国際研究者交流 |
|---|
| Outline of Annual Research Achievements |
結核菌群は人の結核の起因菌であるMycobacterium tuberculosisと、その近縁の遺伝的に非常に近似した一群の菌種によって構成されている。各菌種は各々の宿主動物へ適応した結果、異なる宿主嗜好性を持った系統（種）へ分化していったと考えられているが、菌種によってはM. bovisの様に広い感染宿主域を持つものもあり、2012年に新種として独立させることが提唱されたM. orygisもその一つであると考えられる。
我々は以前にバングラデシュでアカゲザル2頭と牛18頭の結核病変から結核菌様の菌を分離していたが、それらがM. orygisであることを証明し、VNTR解析によって動物の種の壁を越えて同じ株が感染していることを見出した。また、2012年から2014年にかけてはネパールのシカおよびレイヨウ（blue bull）の肺結核病変よりM. orygisを分離し、VNTR解析によってバングラデシュとは異なる系統であることを示した。バングラデシュの分離株を用いて次世代シークエンサーによる全ゲノム配列解析を行い、報告されている結核菌の基準株（H37Rv）と比べたところ、ゲノム構造の一部に小規模な組換えと転移が起きていることが判明した。また、データベース上の人結核から分離されたM. orygisのゲノムと比べると、マッピング不能な変異箇所の大半は菌体表面抗原であるPE-PGRSをコードしていた。
この他に我々はネパールにてゾウの肺結核病変から分離された菌も解析したが、これらは全て人型の結核菌であった。ネパールの患者から得られる地域特有の結核菌株も検出されたが、いずれも人から得られた株とは異なり、IS（トランスポゾン）の数が増えて型別結果にも影響を与える程ゲノムの構造が変化している様子が見られ、異なった宿主への適応の結果であることが示唆された。
|
