2012 Fiscal Year Research-status Report
プリオン蛋白遺伝子転写制御領域のエピジェネティクス
Project/Area Number |
24580445
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
佐伯 圭一 神戸大学, (連合)農学研究科(研究院), 准教授 (10311630)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
河野 潤一 神戸大学, (連合)農学研究科(研究院), 教授 (40127361)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | プリオン蛋白遺伝子 / エピジェネティクス / DNAメチル化 / マウス / 培養細胞 |
Research Abstract |
「研究目的」プリオン蛋白(PrP)遺伝子は、様々な組織で発現しているが、発現レベルは組織ごとに異なっている。しかしながら、各組織での発現レベルを決定する要因についての報告はない。 本研究では、遺伝子発現の制御に深く関与しているDNAのメチル化に注目し、 PrP遺伝子プロモーター領域を含む遺伝子部分についてマウス各組織および株化細胞における詳細なメチル化パターンを明らかにすることを目的とした。 「具体的内容」C57bLマウス各組織(32組織)および5種の株化培養細胞からDNAを抽出し、Bisulphite Sequencing PCR法によってメチル化頻度を調べた。解析領域に含まれるCpG配列に上流から1-46番の番号を付けた。9-43番のCpG配列は、CpGアイランドに属した。マウスで推定されるプロモーター領域には、 13-23番の配列が含まれた。1および2番のメチル化頻度は、株化細胞C1300およびN18において非メチル化状態を示したが、その他すべての検体においてメチル化(4.3-100%)が認められた。3番については、精巣、株化細胞NIH3T3およびC1300のみが非メチル化状態であった。 4番目については、精巣、C1300のみが非メチル化状態であった。5-7番においては、一部の組織に低い頻度のメチル化が認められたが、ほとんどの組織・株化細胞で非メチル化状態を示した。8-46番目については、すべての組織および株化細胞で非メチル化状態であった。 「意義・重要性」PrP遺伝子プロモーター領域だけでなくCpGアイランドを含む8-46番目のCpG配列が、すべての検体で非メチル化状態であった。このことは、PrP遺伝子発現がON状態を示唆し、ほとんどすべての組織や細胞で発現しているとするこれまでの予想を強く結論付ける結果となった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまでの申請者らによるプリオン蛋白(PrP)の機能研究の過程において、調べてきた20種類以上の株化培養細胞およびマウス各臓器において、発現レベルに差があるもののPrP遺伝子が発現していることがわかっている。そこで本研究では、これまで行なってきたプリオン蛋白の機能解析の研究を踏まえて、平成24年度にマウス各臓器およびマウス由来株化細胞におけるPrP遺伝子発現制御領域のメチル化頻度について詳細に解析を行なうことを目的とした。 その結果、C57bLマウス各組織(32組織)および5種の株化培養細胞におけるPrP遺伝子上流部に含まれる46か所のDNAメチル化頻度が明らかとなった。PrP遺伝子プロモーター領域だけでなくCpGアイランド全体において、すべての検体で非メチル化状態であることが明らかとなった。このことは、PrP遺伝子発現がON状態を示唆し、ほとんどすべての組織や細胞で発現しているとするこれまでの予想を強く結論付ける結果となった。このことはプリオン病における主要な実験動物であるマウスにおいて重要な知見を得たと考えられる。研究計画書に記述した「マウス各臓器およびマウス由来株化細胞におけるPrP遺伝子転写制御領域におけるメチル化頻度の解析]はほぼ達成できたと考えられる。一方で[マウス各臓器およびマウス由来株化細胞を用いた遺伝子発現量の定量化解析]は大まかな結果だけが得られ達成度については8割程度と評価した。プリオン病の社会的注目度から考えると、今後の研究においてヒトPrP遺伝子上流部のメチル化頻度を詳細に調べる必要性が考えられ、次年度以降の研究計画にこのことを新たな研究計画として加える予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
前年度研究計画・方法に従って、解析対象のマウス系統およびマウス由来株化細胞の種類を増やし、PrP遺伝子メチル化頻度を詳細に解析していく。また、研究計画の変更点として、今年度は細胞分化にともなうPrP遺伝子メチル化パターンの解析を新たに研究計画に加えスタートさせる予定である。該当研究費として別系統マウスおよび新たなマウス由来株化培養細胞の購入代、細胞培養関連試薬の購入代、遺伝子メチル化解析に関係する試薬代を前年と同様に研究費として申請した。また、前年度の成果を今年度に成果発表するための旅費、研究協力者と研究打ち合わせおよび研究試料提供に関係する費用等を旅費およびその他として計上した。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
該当なし
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Research Products
(2 results)