2013 Fiscal Year Research-status Report
ベトナムに飛来する渡り鳥の高病原性鳥インフルエンザウイルス感染の実態調査
Project/Area Number |
24580446
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
堀田 こずえ 東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 助教 (70466192)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊藤 壽啓 鳥取大学, 農学部, 教授 (00176348)
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Keywords | ベトナム / ベトナム国立衛生疫学研究所 / 鳥インフルエンザウイルス / 疫学調査 / 渡り鳥 |
Research Abstract |
本研究は、北部ベトナムに飛来する渡り鳥の糞便から、渡り鳥におけるH5N1亜型高病原性鳥インフルエンザういるすの自然観状況を把握し、渡り鳥による鳥インフルエンザウイルス伝播の実態を明らかにする事を目的とする。 当該年度は、まず最初にH25に採取した糞便から分離された株の同定を行うと同時に野鳥種の同定も行った。その結果、分離亜型はH4N6亜型ウイルス(2株)、H3N6亜型ウイルス(1株)であり、8分節の遺伝子解析も完了している。さらにこれら糞便の野鳥種をミトコンドリアDNAをシーケンスする事により、同定した。その結果、3株ともAnas querquedula カモ目カモ科マガモ属シマアジであった。 次にH26年度の渡り鳥の糞便採取をベトナム、Nam Dinh省、Xuan Thuy国立公園にて2回行い、計249検体を集めた。これらを10日齢ニワトリ有精卵に接種し、鳥インフルエンザウイルスの分離を試みた。その結果、8株の鳥インフルエンザウイルスが分離され、7株がH7N7亜型ウイルス、1株が未同定です。H7N7亜型ウイルスののHA遺伝子を部分的にシーケンスした結果、低病原性であり、中国で人への感染が発生しているH7N9亜型ウイルスとは異なった。 平成26年4月13日に熊本で発生した高病原性鳥インフルエンザウイルスは、H5N8亜型ウイルスと同定され、韓国で流行している株である事が判明し、渡り鳥が運んだ可能性が高いとされている。当該年度に分離されたH7N7亜型ウイルスはH7亜型と判明した時点で、中国で発生しているH7N9亜型ウイルスのベトナムへの新たな輸入ウイルスの可能性またはH7高病原性鳥インフルエンザウイルスであるかを確認するため、ベトナム国立衛生疫学研究所と協力し、迅速な対応を行った。渡り鳥が国境を超えて運ぶ鳥インフルエンザウイルスの亜型は毎年異なるため、継続的な監視が必要である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
交付申請書の研究計画に基づき、予定通り研究を遂行している。さらに、分離された株によっては、ベトナム政府との情報共有と迅速な対応が必須であり、ベトナム国立衛生疫学研究所のウイルス部と円滑に協力体制ができていると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
H27年度は、H26年度に分離されたウイルス株の遺伝子解析と野鳥種を同定を行う。本年度も、渡り鳥の飛来時期に検体を採取し、ウイルス分離を行い、遺伝子解析も完了させる。その後、3年間全体の研究結果をまとめる。
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