2014 Fiscal Year Annual Research Report
乳牛群における潜在性2型ケトーシスの発生実態とリスク要因の解明
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24580450
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Research Institution | Rakuno Gakuen University |
Principal Investigator |
及川 伸 酪農学園大学, 獣医学群, 教授 (40295895)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 乳牛 / ケトーシス / 有病率 / リスク要因 / β-ヒドロキシ酪酸 / 非エステル型脂肪酸 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成26年度は最終年度であり、補足の調査と採材を行い、データの総合的評価を以下のとおり実施した。 1.潜在性ケトーシス(SCK)の有病率および特徴と乾乳期における低エネルギー状態(NEB)の評価:前年度までの537検体に加えて、最終的に115戸あまりの農場から総計2,593検体が分析された。泌乳初期のSCKの有病率は全体で17.4%(道東13.3%、道北22.5%、道央20.8%)であり地域差が見られた。一方、乾乳期では1.7%(1.3~2.5%)と低かった。また、泌乳初期のSCKは、夏期で20.7%、冬期で13.5%であり、季節差が見られたが、乾乳期ではそのような差はなかった。乾乳期に非エステル型脂肪酸(NEFA)濃度を測定してNEBを評価した結果、その割合は全体で10.8%(道東10.0%、道北17.5%、道央8.8%)であり地域差が見られたが、季節差はなかった(夏期10.6%、冬期11.2%)。以上より、泌乳初期に約20%がSCKと診断されたことから対策の必要性が示唆された。また、乾乳期のNEBと分娩後のSCKの関連性が考えられた。なお、地域差は飼養管理の違いを反映していると推察された。 2.SCKの発生前の病態評価とリスク要因の検討:中規模酪農場(経産牛約200頭)における過去5年間の経時的なデータを分析した。分娩後2週間以内のSCK検査において、健康牛(対照群 、n=80 )、2型SCK牛(SCK群、n= 50)、検査前に疾病に罹患していた牛(疾病群、n=46 )に分類し、乾乳期に遡って差異を比較した。乾乳期のNEFA濃度は疾病群、SCK群、対照群の順で高い傾向があり、インスリン抵抗性も同様の結果であった。また、身体的所見には明らかな差はなかった。以上から、泌乳初期にSCKとなる牛は、乾乳期に既にNEBとなりインスリン抵抗性を呈している可能性が示唆された。
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