2012 Fiscal Year Research-status Report
犬の再生治療に用いる新規細胞ソースとしての脱分化脂肪細胞(DFAT)
Project/Area Number |
24580458
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
西村 亮平 東京大学, 農学生命科学研究科, 教授 (80172708)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 脂肪由来間葉系幹細胞 / 脱分化 |
Research Abstract |
平成24年度は健常ビーグル犬の皮下脂肪組織を用い、犬の脱分化脂肪(canine dedifferentiated fat cells: cDFAT)細胞培養法を確立した。皮下脂肪組織をコラゲナーゼ処理し、成熟脂肪細胞と間質細胞分画を分離し、マウスでの報告と同様に天井培養法により成熟脂肪細胞を培養したところ、3-5日で成熟脂肪細胞の形態が線維芽細胞様細胞に形態変化し、増殖する様子が観察された。増殖した細胞を用いて分化誘導試験を行ったところ、組織学的に脂肪・骨・軟骨に分化可能な細胞であることを確認できた。骨・脂肪については、誘導後それぞれの分化マーカーの上昇あるいは維持が認められた。また、間質細胞分画細胞から得られた脂肪由来間葉系幹細胞と増殖能を比較したところ、両者はほぼ同等の増殖能を示した。さらに、両者の脂肪分化マーカーを比較したところ、脂肪由来間葉系幹細胞ではPPARγの発現がみられたのに対し、DFATではほぼ消失していた。これらのことから、犬の成熟脂肪細胞から得られた線維芽細胞様細胞は間葉系細胞への多分可能および自己増殖能を有していること、また、脂肪由来間葉系幹細胞では脂肪細胞への分化系譜をもつ細胞のコンタミネーションが予想されたが、DFATは成熟脂肪細胞が脱分化して得られる細胞で、脂肪細胞への分化系譜をもつ細胞が含まれておらず、より純度の高い間葉系幹細胞群であることが考えられた。また、培養法では、犬の脂肪組織をコラゲナーゼ処理する条件が、成熟脂肪細胞を良好な状態で多く得るためには重要であった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
安定して犬の脂肪組織からDFATを作製できるプロトコルを作成できた。さらに現在、骨髄中に含まれる成熟脂肪細胞を用いたDFATの作製にも取り組んでおり、さらに安全で侵襲を少なく細胞を得られる方法を開発している。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度はDFATと脂肪由来間葉系幹細胞のクローナリティーに比較解析をさらに進めるため、FACSを用いて細胞表面抗原解析を行う。本年度確立した培養法によりDFATおよび脂肪由来間葉系幹細胞を同一の皮下脂肪組織から分離培養し、得られた細胞を用いて以下の表面抗原(抗原特異的細胞)を候補とし、クローナリティー解析を行う。また、脊髄損傷疾患への臨床応用の可能性を探索するため、①神経細胞への分化誘導②神経栄養因子あるいは軸索保護効果をもつサイトカインの発現について解析を行う予定である。また、それと並行して、骨髄由来の成熟脂肪細胞を用いたDFATの培養法の確立を行う予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究費は主に、培養に用いる消耗品および試薬に用いる。新たに購入を予定する備品・設備は現在のところない。
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Research Products
(1 results)