2014 Fiscal Year Annual Research Report
犬の再生治療に用いる新規細胞ソースとしての脱分化脂肪細胞(DFAT)
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24580458
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
西村 亮平 東京大学, 農学生命科学研究科, 教授 (80172708)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 再生医療 / 間葉系幹細胞 / 骨髄 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成25年度において、犬骨髄液中の脂肪細胞周囲に間葉系幹細胞の性質を示す小型の細胞を見出しBM-PACと命名したが、本年度はBM-PACと従来の骨髄間葉系幹細胞(BMMSC)を比較を行った。同一骨髄液から得られたBM-PACとBMMSCを直接比較したところ、BM-PACはBMMSCと比較し、骨・軟骨・脂肪へ均等に分化し、各種分化能の指標となる染色法にも強い染色性を示す傾向をみとめ、BM-PACはBMMSCよりさらに未分化な間葉系幹細胞を含む可能性が示唆された。また、複数の細胞表面抗原によりプロファイリングを行ったところ、BM-PACにはCD73を発現する細胞が有意に多く含まれていることが明らかとなった。また、強力な組織再生能力を示す肝細胞成長因子(HGF)の発現においても、BM-PACはBMMSCよりタンパクレベルで高い発現を示し、再生医療への有用なセルソースとなることが期待できた。さらに、BM-PACは主要な炎症性サイトカインであるTNF-αに反応し、TNF-α存在下でHGF発現を上昇させることが明らかとなった。このことから、組織損傷後に炎症が存在していれば、BM-PACがHGFを分泌することにより、組織再生に寄与する可能性が考えられた。我々が治療目標とする脊髄損傷においてもTNF-αの発現が上昇することから、今後は動物実験モデルを用い、実際に脊髄損傷モデルへのBM-PAC投与が、HGFを介した治療効果をもたらすかを検討していく予定である。 一方で、新たな試みとして、BM-PACを用いた軟骨組織の立体培養を試みた。浮遊培養したBM-PACのスフェロイドを体外にて融合させることにより、2㎜x2㎜を超える大きさの軟骨様組織の作製に成功した。プロテオグリカンの発現が低いなどの問題点も残ったが、軟骨再生の基礎的研究を行う良い研究デザインが得られたと考えている。
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