2013 Fiscal Year Research-status Report
ヒストン修飾酵素異常を基軸としたリンパ腫発生機構の解析と新規治療戦略の検討
Project/Area Number |
24580460
|
Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
奥田 優 山口大学, 獣医学部, 教授 (10325243)
|
Keywords | 犬 / リンパ腫 / エピジェネティック / メチル化 |
Research Abstract |
MGMTは抗癌剤によってアルキル化されたグアニンを修復するDNA修復酵素であり,これまで我々の研究室で行われた犬リンパ腫細胞株を用いた研究においても抗癌剤ロムスチン耐性へのMGMT発現の関与が示唆されている。また, 人医領域ではMGMT Exon 1近傍のCpGアイランドのメチル化によりMGMT遺伝子発現が抑制されていると報告されている。本年度は犬リンパ腫に関わるエピジェネティック異常として,犬MGMT遺伝子のメチル化に着目し,メチル化阻害薬添加の有無によるMGMT遺伝子のmRNA発現量の比較を行うとともに,CpGアイランドのメチル化状態を解析した。 犬リンパ腫細胞株と健常犬PBMCを用い, メチル化阻害薬添加によるMGMT遺伝子mRNA発現量への影響を検討した。その結果, メチル化阻害薬非添加状態ではMGMT mRNA発現が認められなかった一部の細胞株でメチル化阻害薬添加によりMGMT遺伝子発現が認められるようになった。次にMGMT遺伝子Exon 1の上流約10,000bp~下流約7,000bpを対象として CpGアイランドの検索を行ったところ, Exon 1の上流約10,000bpの領域に4つのCpGアイランドが存在することが明らかとなった。さらにこれらのCpGアイランドについてメチル化解析を行ったが, いずれの領域においてもCpGのメチル化によるMGMT遺伝子の発現抑制という仮説との一致は認められなかった。 以上の結果から本研究では犬リンパ系腫瘍細胞株においてMGMT遺伝子の発現がメチル化により抑制されている可能性が強く示唆された。しかし, 今回解析した犬MGMT遺伝子のExon 1の上流約10,000bp~下流約7,000bpの領域には犬MGMT遺伝子の発現調節に関わるメチル化領域が存在する可能性は低いものと考えられた。以上の結果は現在,投稿準備中である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
ヒストンの修飾を検出するための市販抗体の反応性に問題があり,免疫染色,Western blotによるヒストン修飾の解析が難航しており,代替として本年度は犬リンパ腫に関わるエピジェネティック異常という観点からMGMT遺伝子のプロモーター領域のメチル化を行っていたため。
|
Strategy for Future Research Activity |
目的の本質は犬リンパ腫発生の分子機構を明らかにすることで,新たな治療戦略を提案することであり,リンパ腫発生に重要な分子についての解析を展開したいと考えている。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
ヒストン修飾に関する解析に使用予定であった抗体がその反応性の問題から全額使用しなかったため,次年度に繰り越しを行った。 次年度は最終年度であり,犬リンパ腫発生の分子機構を明らかにすることで,新たな治療戦略を提案するという目的の達成のため,リンパ腫発生に重要な分子についての解析を展開するための物品費と成果発表のための費用として使用予定である。
|
-
[Journal Article] Oncolytic reovirus in canine mast cell tumor.2013
Author(s)
Hwang CC, Umeki S, Kubo M, Hayashi T, Shimoda H, Mochizuki M, Maeda K, Baba K, Hiraoka H, Coffey M, Okuda M, Mizuno T
-
Journal Title
Plos One
Volume: 8
Pages: e73555
DOI
Peer Reviewed
-
[Journal Article] Establishment of five canine lymphoma cell lines and tumor formation in a xenotransplantation model.2013
Author(s)
Umeki S, Ema Y, Suzuki R, Kubo M, Hayashi T, Okamura Y, Yamazaki J, Tsujimoto H, Tani K, Hiraoka H, Okuda M, Mizuno T
-
Journal Title
J Vet Med Sci
Volume: 75
Pages: 467-474
DOI
Peer Reviewed
-
-