2014 Fiscal Year Annual Research Report
ナノ粒子化点眼薬の眼内炎治療に関する研究:抗炎症効果とその機序について
Project/Area Number |
24580464
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
金井 一享 北里大学, 獣医学部, 准教授 (50281598)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | ぶどう膜炎 / 眼内炎 / 治療 / ナノ粒子化点眼薬 |
Outline of Annual Research Achievements |
ナノテクノロジーを応用した薬剤送達システム(DDS)による眼内炎治療を目的としてナノ化トラニラスト(n-TL)点眼薬の抗炎症効果とその機序をin vivoとin vitro系で評価することを目的とした。前年度までにIn vivoによる評価系であるエンドトキシン誘発ぶどう膜炎(EIU)ラットモデルを用い、nTL点眼は、抗炎症効果が得られることを明らかにしている。本年は、nTLの詳細な抗炎症機序解明を目的として、RAW264.7細胞を用いたin vitro試験を行った。実験方法: RAW264.7細胞の培養液中に前処置として25μM nTLを24時間添加と非添加した各群に、1μg/mLのLPSを30分感作後のp(リン酸化)-IKK、 IκB-α、p65 (NF-κBのサブユニット)、 p-c-Jun(AP-1のサブユニット)、分裂促進因子活性化蛋白質キナーゼ(MAPKs) のリン酸化(p-JNK、p-p38、p-ERK)、HO-1ならびにLPSを12-24時間感作後のCOX-2 、iNOS、HO-1の各種抗体を用いてその発現を蛍光免疫染色法ならびにウェスタンブロット解析により検討した。結果:25μM nTL添加群は、LPS添加30分後のIKKのリン酸抑制、IκB-αの分解抑制とp65の核内移行(免疫蛍光染色法による)の抑制ならびにJNKとc-Junのリン酸化抑制が認められた。一方、nTLはp38とERKのリン酸化を抑制しなかった。HO-1の発現増加が確認された。また、LPS添加24時間後のCOX-2とiNOSの発現を有意に抑制した。結論:nTLは、①IKKのリン酸化抑制によるIκBの分解あるいは直接的なIκBの分解抑制とHO-1の早期発現によりNF-κBの活性化阻害と、②c-Junのリン酸化を抑制することでAP-1の転写活性の一部を阻害した。nTLは、二つの転写因子であるNF-κB経路とAP-1経路の一部を阻害することを明らかにした。NF-κB とAP-1経路を阻害するnTLの抗炎症効果は、眼内炎の新たな治療戦略となりうることが期待される。
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