2014 Fiscal Year Annual Research Report
コルチゾール分泌抑制薬が犬下垂体腺腫細胞増殖能に及ぼす影響の検討
Project/Area Number |
24580466
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Research Institution | Nippon Veterinary and Life Science University |
Principal Investigator |
原 康 日本獣医生命科学大学, 獣医学部, 教授 (00228628)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | Cushing病 / コルチゾール分泌抑制薬 / CRH / Nelson症候群 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究はCushing病罹患犬において小動物獣医領域で使用されているコルチゾール分泌抑制薬がACTH産生腺腫増殖能に及ぼす影響について解明することを目的として実施した。まず腫瘍サイズを推定可能な臨床検査を探索するため、腫瘍サイズおよび各種臨床検査の結果を比較検討した結果、内因性血漿ACTH濃度と下垂体腫瘍サイズの指標であるP/B ratioの間に有意な正の相関関係が認められた。また下垂体腫瘍組織における増殖マーカーとして人医療で報告されているKi67およびminichromosome maintenance 7 (MCM7) タンパクの免疫組織学的検討を行った結果、P/B ratioおよびKi67陽性率間、P/B ratioおよびMCM7陽性率間に有意な正の相関が認められ、犬ACTH産生下垂体腺腫においても、これらの増殖マーカーの有用性が明らかとなった。 次に健常犬にコルチゾール分泌抑制薬を投与することにより下垂体の過形成が生じることが報告されているが、その機序を解明するために、健常犬にコルチゾール分泌抑制薬を投与した際の脳脊髄液中のCRH濃度を測定した結果、投与により脳脊髄液中のCRH濃度は有意に増加した。さらに投与終了後の下垂体前葉細胞を使用した初代培養の結果、CRH添加によりACTH産生細胞のEdU陽性率が有意に増加し、CRHは犬下垂体ACTH産生細胞の増殖能を活性化することが示唆された。また、犬ACTH産生腺腫細胞によって同様の検討を実施したところ、CRHの添加によりACTH産生腺腫細胞のEdU陽性率が有意な増加を示し、これはCRH receptor1阻害薬であるAntalarminの添加によって阻害された。 以上の結果からコルチゾール分泌抑制薬の投与により過剰に分泌されたCRHはACTH産生細胞の増殖を促進し、これはCRH receptor1を介した作用であることが明らかとなった。
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