2014 Fiscal Year Annual Research Report
骨髄単核細胞を用いた脊髄再生治療法の開発および獣医臨床応用
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24580469
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Research Institution | Nippon Veterinary and Life Science University |
Principal Investigator |
原田 恭治 日本獣医生命科学大学, 獣医学部, 准教授 (70398882)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 脊髄再生 / 獣医療 / 骨髄 |
Outline of Annual Research Achievements |
哺乳類の脊髄神経は再生能が乏しく、事故や疾病などで脊髄を損傷すると下半身麻痺や四肢麻痺の状態が一生涯続く。我々は、動物の脊髄損傷症例に対して骨髄単核細胞を用いた臨床試験を世界に先駆けて実施したところ、明らかな治療効果が認められた。骨髄単核細胞が脊髄を再生する機序はまだ十分に解明されていないため、動物実験と獣医臨床試験の双方向からのアプローチで解明していくとともに、得られた情報のフィードバックから最適な脊髄再生治療法を確立していくことが本研究の目的である。 研究実績 A脊髄損傷ラットモデルを用いた動物実験:前年度までの研究において、脊髄損傷ラットモデルに対する骨髄単核細胞移植を実施し、術後1週間でコントロール群に比較して有意な運動機能の改善が得られることを確認した。移植に使用したGFP陽性骨髄単核細胞は、移植直後から脊髄損傷部に集積し定着したのち、数週間かけて拡散消失していくことが組織学的に確認された。移植されたGFP陽性細胞の免疫染色の結果からは、HGF発現陽性細胞が多数存在することが確認された。HGFは神経細胞への保護効果が認められており、今回の実験においても、骨髄単核細胞移植群のアポトーシス発現率はコントロール群に比較して有意に低値を示した。これらの知見に関しては今までに確認されていなかった新知見であり、獣医学系学会にて報告を行った。 B培養神経細胞を用いた実験:ラット大脳より採取した神経細胞に対して、骨髄単核細胞との共培養、およびHGF投与を行った際の神経突起伸長速度を比較した。どちらの群においてもコントロール群に比較して有意に早い神経突起の伸長が認められたため、脊髄損傷ラットで認められた脊髄再生・保護効果が、骨髄単核細胞移植による一次的な効果であることを改めて確認した。これらの知見に関しても、今までに確認されていなかった新知見であり、学会誌における報告を準備中である。
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