2012 Fiscal Year Research-status Report
樹木エッセンシャルオイルによるエンジン燃料の燃焼効率改善
Project/Area Number |
24580478
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kochi University |
Principal Investigator |
大谷 慶人 高知大学, 教育研究部自然科学系, 教授 (30253339)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 樹木エッセンシャルオイル / ディーゼル排ガス微粒子 / ディーゼル燃料 / 燃焼効率 / ヒノキ精油 |
Research Abstract |
大気中のPM2.5は現在、国外および国内の社会的に大きな問題となっており、ディーゼルエンジン排ガスもその一因である。すなわち、何らかの対策は喫緊の課題である。今回、ヒノキ精油を燃料に直接添加することで、排ガス中の環境汚染物質が低減されることを見出した。 ディーゼル燃料(市販の軽油)に0~5%(体積比)の量で樹木精油を添加して、ディーゼルエンジンの運転試験を行った。排ガスの温度、排ガス中のディーゼル排ガス微粒子(DEP)濃度、エンジンの回転数等を連続測定した結果、1%添加で著しくDEP濃度が減少したが、1%以上添加してもそれ以上の効果は得られなかった。1%以下の添加量では、0.1%添加でもいくらかの効果は見られるが、0.5%以上の添加であれば明らかに大きな効果が得られることを明らかにした。精油をディーゼル燃料に添加すると明らかにエンジンの回転数および排ガス温度は上昇する傾向にあり、燃料の燃焼促進に役立つことがわかった。更に、排ガスの汚染物質、今回は特に排ガス微粒子の著しい減少が見られることから、ヒノキ精油(ヒノキ材油あるいはヒノキ葉)をディーゼル燃料に添加することにより、エンジンの燃焼効率が向上することを明らかにした。ただし、エンジン運転の安定性は電子機器などによる精密な制御をされているわけではないので、多くの試験を行って傾向を正確につかむ必要があった。更に、市販の軽油は品質において精密な試験を行うには比較的大きな変動があることがわかり、使用する燃料の交換時には注意を要することも分かった。今回用いたディーゼルエンジンおよび測定機器のほとんどは本研究費により購入した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通り、ディーゼルエンジン、デジタル粉塵計、排ガス黒煙測定器を購入して、ヒノキ精油を中心にディーゼル燃料への添加実験を開始した。エンジンの低速回転(630~900rpm)、高速回転(1780~1880rpm)の2条件で測定したところ、 ヒノキ材精油1%添加で著しく排ガス中のDEP濃度が減少したが、添加量を増やしてもそれ以上の効果は得られなかった。ヒノキ材精油1%以下の添加量を検討した結果、0.5%以上で効果が現われた。精油の添加量の増加に伴い、エンジンの回転数および排ガス温度は上昇する傾向にあった。しかし、5%添加では逆に低下し、最適の添加量が存在することを示した。以上の結果を2013年3月に盛岡市で開催された日本木材学会大会で発表したところ、優秀ポスター賞を受賞した。
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Strategy for Future Research Activity |
大気中のPM2.5は現在、社会的に大きな問題となっており、ディーゼルエンジン排ガスもその一因である。今回、ヒノキ精油を燃料に直接添加することで、排ガス中の環境汚染物質が低減されることを見出した。一般に、ディーゼル燃料の燃焼温度が上昇するとNOxの増加を伴うので、今後この点をさらに詳細に検討する。更に、 ヒノキ精油以外の精油でも効果を明らかにするとともに、樹木精油の種類および添加量、使用条件によってその効果がどのように変化するかを明らかにする。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
該当なし
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Research Products
(1 results)