2013 Fiscal Year Research-status Report
樹木エッセンシャルオイルによるエンジン燃料の燃焼効率改善
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24580478
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Research Institution | Kochi University |
Principal Investigator |
大谷 慶人 高知大学, 教育研究部自然科学系, 教授 (30253339)
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Keywords | ディーゼル燃料添加物 / 樹木エッセンシャルオイル / 燃費 / ユーカリ油 / ヒノキ精油 / テレピン油 |
Research Abstract |
ヒノキ精油をディーゼル燃料に0~5%の量で直接添加することで、排ガス中の環境汚染物質が低減されることを見出した。前回までは、ヒノキ精油(主に材油)を用いて、添加による排ガス成分中のディーゼル排ガス微粒子(DEP)濃度を中心に検討し、低速及び高速回転において著しく減少することを明らかにした。今回は、ヒノキ葉油、ユーカリ油、テレピン油についても同様の効果が得られるかを検討し、更に、精油添加による燃費の測定を行った。燃費は一定時間の運転の後、総回転数と消費燃料量を測定して所定回転数当たりの燃料消費量で表した。ユーカリ油はパルプ原料用の早生ユーカリ植林地で採取した林業廃棄物である枝葉から水蒸気蒸留により抽出して試験に用いた。軽油に各樹木精油を添加して、ディーゼルエンジンの運転試験を行った。排ガスの温度、排ガス中のDEP濃度、排ガス中のNOx、CO、CO2濃度、エンジンの回転数等を連続測定した結果、ヒノキ材油同様に0.5~3%添加で著しくDEP濃度が減少したが、その他の排ガス成分に対しても同様に最適の添加量は樹木精油の種類によって異なった。すなわち、DEP濃度では、ユーカリ油およびテレピン油ともに同等の効果が得られたが、テレピン油の方が、より低い濃度での効果が高かった。NOx、CO、CO2濃度についても低下傾向が見られたものの、バラツキが大きかったために、現在、再試験を行っているところである。一方、樹木精油をディーゼル燃料に添加することにより、一定時間の消費燃料量を回転数で割った値で示した燃費は改善傾向にあった。この場合にも、樹木精油の種類により最適の添加量は多少異なっていた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通り、各種樹木精油を用いてディーゼル燃料への添加実験を行った。エンジンの低速回転(630~900rpm)、高速回転(1780~1880rpm)の2条件で測定したところ、 樹木精油の添加で著しく排ガス中のDEP濃度が減少した。NOx、CO、CO2濃度も樹木精油添加により減少傾向にあった。ただし、精油の種類によって最適の添加量は異なっていた。樹木精油添加による燃費測定の結果、低速回転において0.5%~2%の精油添加で、燃費は3~6%の改善が見られた。その中でもヒノキ材油、テレピン油の効果が高かった。高速回転ではばらつきが大きく、はっきりとした燃費改善傾向は見られなかった。今回は予定通り、数種の樹木精油を試験に用いて、それぞれの特徴を知ることができた。なお、当初の予定通りタイ国のユーカリ植林地で林業廃棄物よりユーカリ油を採取して、試験を行った。
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Strategy for Future Research Activity |
大気中のPM2.5は現在、社会的に大きな問題となっており、ディーゼルエンジン排ガスもその一因である。今回、ヒノキ精油に拘らず、他の樹木精油、ユーカリ油、テレピン油などを燃料に直接添加することでも、排ガス中の環境汚染物質が低減され、燃費も改善傾向にあることを見出した。排ガス中の環境汚染物質としてDEP、NOx、CO、CO2を測定しているが、まだ、すべての精油に対する測定を完了しているわけではない。特に今回バラツキが大きかった部分については再試験を必要としている。今後は今までのデータの確認と同時に、完了していない項目の測定を行う。更に、今までは低速回転、高速回転の2条件で行ってきたが、1000~1200rpmの中速回転についても測定を行う予定である。
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Research Products
(2 results)