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2013 Fiscal Year Research-status Report

砂漠化防止へのアプローチ:フラビン類分泌植物の鉄欠乏下での生存戦略の解明

Research Project

Project/Area Number 24580479
Research InstitutionNagasaki University

Principal Investigator

北村 美江  長崎大学, 水産・環境科学総合研究科, 教授 (40108337)

Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) 山口 健一  長崎大学, 水産・環境科学総合研究科, 准教授 (90363473)
西山 雅也  長崎大学, 水産・環境科学総合研究科, 教授 (50263801)
Keywords鉄欠乏 / 双子葉植物 / 培養根 / フラビン類 / 呼吸鎖複合体 / ストレス耐性
Research Abstract

アルカリ土壌が原因で起こる鉄欠乏に耐性を示すヒヨスを含む双子葉植物の培養根を用いて、その生存戦略の解明に取り組んだ。前年度に確立したスモールスケール・プロテオミクスの手法を用いて、鉄欠乏下で特異的に発現が低下、および増加したヒヨスのタンパク質を36種同定し、この結果に基づき、鉄欠乏下での鉄恒常性の維持がどのように行われているかを提案し、論文として公表した。呼吸鎖電子伝達系の中、機能低下が見られると予想した呼吸鎖複合体I、複合体II、 AOXの中で、複合体Iの低下が確認され、代表者が提案した鉄欠乏下で機能低下する呼吸鎖複合体を支持する結果を得た。一方、これら3種の複合体タンパク質の遺伝子の部分クローニングの後に行ったRT-PCRによる発現レベルの分析では、いずれも鉄十分下よりも鉄欠乏下で発現量が増加していた。このことから、これらタンパク質のmRNAは翻訳制御を受けるものと考えられた。
ヒヨス以外の双子葉植物、キュウリとヒマワリを中心に鉄欠乏下で分泌するフラビン類の同定とin vitro 生成を試みた。HPLCで単離後、MALDI-QIT-TOF MSで質量分析した結果、キュウリとヒマワリのものはそれぞれリボフラビンの脱水素体とアセチル化体と予想した。キュウリに関しては、リボフラビンをはじめ、FMNやFADを基質とした酵素反応により、フラビン誘導体が生成することを確認し、複合体I、複合体IIの補因子であるFMNやFADがリボフラビン、更にその誘導体へ変換される可能性を示すもので、代表者の提案を支持する結果となった。更に、定性反応により、このフラビン誘導体はリボフラビンのリビトール鎖が環を形成したものと考えた。
フラビン類が土壌細菌への化学シグナルとして働くなど、生態学的役割の解明へのアプローチとしては、ヒヨス生育土壌中からリボフラビンを単独栄養源として増殖する土壌細菌を単離することができた。ただし、同定には至っていない。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

鉄欠乏下耐性を示すヒヨス培養根の生存戦略は、プロテオミクスによるデータ解析の結果、鉄を節約し、二次代謝やde novo 合成に関わる代謝を抑制するなど、エネルギーを節約して、エネルギーを優先的に生長に用いていることが明らかになった。呼吸のみでなく、代謝の全体像がつかめた点では予想以上の進展と言える。また、電子伝達系に関わる呼吸鎖複合体I,IIと AOXの部分クローニングは終了し、次年度に計画していた、RT-PCRによる発現解析を本年度に終了することができた。ただし、発現量はプロテオミクスの結果とは一致せず、鉄欠乏下で発現が増加した。このことは翻訳制御の存在を示唆しており、更なる検討の必要性を示した。
一方、ヒヨス以外の双子葉植物、キュウリとヒマワリで観察された鉄欠乏下で分泌されるフラビン類はリボフラビンの誘導体で、それぞれ酸化体とアセチル化体であること、キュウリに関しては、その構造を推定できた。ただし、構造を確定するにはNMRなどによる、更なる検討の必要性を残した。
土壌細菌とフラビン類の関連については、ヒヨス生育土壌中から単離した細菌の中にリボフラビンを単独栄養源として増殖する土壌細菌を見出すことができた。ただし、同定には至っていない。
以上の点から、概ね順調に進展しているものと判断した。

Strategy for Future Research Activity

最終年度に当たるため、これまでの結果を検証し、進展が遅れている、あるいはこれまでの結果から新たな展開を必要とする課題に取り組む。具体的には、1)キュウリの分泌物である新規のフラビン誘導体の化学構造を確定するために、単離・精製を進め、NMRによるデータを収集する。2)鉄欠乏下で生育する土壌細菌の同定と土壌細菌が鉄を利用できるかを調べる。3)ミトコンドリアの呼吸鎖伝達系を担うタンパク質の遺伝子発現の翻訳制御の機構を明らかするために取り組む。
また、これまでの成果を学会で発表すること、論文としてまとめ、公表することにも重点を置く。

Expenditure Plans for the Next FY Research Funding

プロテオミクスの実験に熟練した実験補助者(博士研究員)に対する人件費の支払いを年度末まで予定していたが、本人が都合により予定より早く帰国したため、支払い予定額が減少し、余剰が生じた。
少額なので、旅費や物品費に充てる予定である。

  • Research Products

    (5 results)

All 2014 2013 Other

All Journal Article (2 results) (of which Peer Reviewed: 2 results) Presentation (2 results) Remarks (1 results)

  • [Journal Article] Health risk assessment of arsenic and other heavy metals from vegetables grown in Banglish village, Bangladesh2014

    • Author(s)
      J Khandakara,Md. S Islam, T Nakamura, K Sera, T Takatsuji, Y Kitamura
    • Journal Title

      International Journal of PIXE

      Volume: 22 Pages: 287-298

    • DOI

      10.1016/j.ygcen.2007.01.017

    • Peer Reviewed
  • [Journal Article] A small-scale proteomic approach reveals a survival strategy, including a reduction in alkaloid biosynthesis, in Hyoscyamus albus roots subjected to iron deficiency2013

    • Author(s)
      Jebunnahar Khandakar, Izumi Haraguchi, Kenichi Yamaguchi, Yoshie Kitamura
    • Journal Title

      Frontier in Plant Science

      Volume: 4 Pages: 1-13

    • DOI

      10.3389/fpls.2013.00331

    • Peer Reviewed
  • [Presentation] 鉄欠乏ストレスによるヒヨス培養根の組織構造の変化2013

    • Author(s)
      川原優紀、北村美江
    • Organizer
      第31回日本植物細胞分子生物学会 札幌大会・シンポジウム
    • Place of Presentation
      北海道大学 高等教育推進機構(札幌市)
    • Year and Date
      20130910-20130912
  • [Presentation] 鉄欠乏がヒヨス培養根の代謝に与える影響2013

    • Author(s)
      原口 泉、Jebunnahar Khandakar、山口健一、北村美江
    • Organizer
      第31回日本植物細胞分子生物学会 札幌大会・シンポジウム
    • Place of Presentation
      北海道大学 高等教育推進機構(札幌市)
    • Year and Date
      20130910-20130912
  • [Remarks] http://www.env.nagasaki-u.ac.jp/education.html

URL: 

Published: 2015-05-28  

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