2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24580489
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | National Institute for Agro-Environmental Sciences |
Principal Investigator |
金田 哲 独立行政法人農業環境技術研究所, 生物生態機能研究領域, 任期付研究員 (00537920)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小松崎 将一 茨城大学, 農学部, 准教授 (10205510)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | ミミズ群集 / 環境保全型農法 / 団粒形成 / 人為的要因 / 環境要因 |
Research Abstract |
近年、環境保全機能の向上や生物多様性の保全等を図る観点から有機栽培、カバークロップ栽培、草生栽培等の環境保全型農業の推進が奨励されている。ミミズは、持続的な農業生産を行う上で重要な養分循環機能や団粒形成機能を有しているものの、環境保全型栽培がミミズ群集やミミズの団粒形成機能に及ぼす影響は明らかになっていない。ミミズの生息密度や団粒形成を高める要因が明らかになれば、ミミズを生かした農地管理が可能となる。本課題では、有機栽培、カバークロップ栽培、草生栽培がミミズ群集の多様性や密度及び団粒形成機能に及ぼす影響を解明し環境保全型農業の推進に資することを目的としている。研究目的を遂行するために、本課題では以下の研究を行う。 ①環境保全型農業実践圃場におけるミミズの生息密度や種多様性の調査、②人為的要因(耕起回数や有機物施用)及び環境要因(有機物被覆、土壌温度、水分)がミミズ群集に及ぼす影響を評価する調査、③環境要因(土壌有機物量や土壌温度、水分)とミミズの団粒形成速度の関係のモデル化。 本年度は、環境保全型栽培(有機栽培、カバークロップ栽培、草生栽培)および人為的要因(耕起回数と有機物施用)がミミズ群集に及ぼす影響を評価する調査を開始した。調査の結果、草生栽培、カバークロップ栽培でミミズの生息密度が対照区と比較し高くなる結果が得られた。人為的要因がミミズ群集に及ぼす影響を評価した調査では、耕起回数を減らし、有機物を施用することでミミズの生息密度が増加する結果が得られた。環境要因がミミズ群集に及ぼす影響を評価するために、遮光処理を行う圃場を設置した。調査は来年以降に行う。ミミズの団粒形成機能を評価する研究では、室内培養実験において温度と水分がミミズの団粒形成速度に及ぼす影響を評価した。温度では25℃で最もミミズの団粒形成速度が速く、土壌水分は湿潤になるほど団粒形成速度が増加した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
野外調査では、さまざまな要因が結果に影響を及ぼす。1年目の調査結果が一般的な傾向かどうか評価するため、2年継続して調査を行う。本年度は、環境保全型農業実践圃場において調査を予定通り開始し、カバークロップ圃場、自然草生栽培圃場においては、カバークロップ栽培および自然草生栽培を行うことで、ミミズの生息密度が増加する結果が得られた。また要因実験においては、ミミズのバイオマスは耕起を行うことで低下し、有機物を施用することで増加した。来年度継続して調査を行うことで、それぞれの環境保全型農法がミミズ群集に及ぼす影響を評価する。また、環境要因(有機物被覆、土壌温度と水分)がミミズ群集に及ぼす影響を評価するための試験圃場を、予定通り本年度設置出来た。 ミミズの団粒形成機能を評価する研究では、予定通り土壌温度と水分がミミズの団粒形成速度に及ぼす影響を定量的に評価出来た。 現段階までのところ、全ての研究テーマにおいて計画通り進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は、おおむね順調に研究を進めることが出来た。このため、次年度はこれまでの計画通り行う。すなわち、現在進行中の圃場試験は、継続して2年目のミミズ生息調査を行う。環境要因がミミズ群集に及ぼす影響を評価する実験では、ミミズの定着度合いを見ながら調査を行うか検討する。 ミミズの団粒形成機能に関する研究では、本年度得られた土壌温度や水分とミミズの団粒形成速度の関係からモデルを構築し、このモデルが土壌温度と水分が日変動する野外で適用出来るか評価する。これと同時に、土壌要因(有機物や粘土含量等)が団粒形成速度に及ぼす影響を評価する試験で用いる土を入手する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
今年度は、ミミズの種同定を行える人材を雇用するために人件費に58万円を予定していたが、予定していた人材を雇用出来なかった。次年度もミミズの種同定を行える人材の確保は難しいため、種同定は自分で行い、実験準備を行う人材を雇用することで研究を効率的に進めて行く。
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Research Products
(3 results)