2013 Fiscal Year Research-status Report
構造生物学的解析によるR型レクチンのシアル酸含有糖鎖結合能獲得メカニズムの解明
Project/Area Number |
24580500
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Research Institution | National Agriculture and Food Research Organization |
Principal Investigator |
逸見 光 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構, 食品総合研究所食品分析研究領域, 上席研究員 (70353993)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
久野 敦 独立行政法人産業技術総合研究所, 糖鎖医工学研究センター, 上級主任研究員 (50302287)
平林 淳 独立行政法人産業技術総合研究所, 幹細胞工学研究センター, 首席研究員 (40156691)
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Keywords | 蛋白質 / 糖鎖 / NMR / レクチン / 糖認識ドメイン |
Research Abstract |
これまで申請者らは、ガラクトースに特異的な糖結合活性を持つR型レクチン(EW29Ch)の糖結合部位において遅い分子内運動による構造の揺らぎが糖結合活性に関係することを明らかにした。また、このレクチンを分子進化工学的に改変させてシアル酸結合性レクチン(SRC: Sia-Recognition EW29Ch)を創製し、X線結晶構造解析を行った。しかしながら、その特異的な糖鎖結合能獲得メカニズムについては十分な情報を得ることができていないことから、本研究では、NMRを用いて、そのメカニズムを解明することを目的とする。本年度は、昨年度に引き続き、NMR測定に安定な13C及び15Nラベル体タンパク質の調製法を確立するとともに、ラクトース結合状態でのSRCの主鎖構造の溶液状態と結晶状態間での比較、及び遊離状態とシアリルラクトース結合状態でのSRCのNMR測定及びシグナルの帰属、さらに15N緩和測定を行った。13C及び15Nラベル体タンパク質の調製法については、遊離状態でもNMR測定に安定なラベル体タンパク質調製法を確立し、15N-HSQCスペクトルにより安定性を評価した結果、15℃及び25℃において十分安定であることが確認できた。ラクトース添加ラベル体SRCを用い、残余双極子カップリング値を測定し、SRC-ラクトース複合体結晶構造との主鎖構造を比較した結果、主にγサブドメインの分子内運動の高いループ領域に違いが観測された。この結果から、溶液状態と結晶状態では、主にγサブドメインのループ領域の主鎖構造が異なることが分かった。また、現在、15N緩和測定法により、遊離状態及びシアリルラクトース結合状態でのSRCの分子内運動の解析を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では、NMRを用いて、特異的な糖結合能を持つ改変体レクチン(SRC)の糖結合状態及び遊離状態での溶液中の立体構造解析及び分子内運動の解析を行うとともに野生体レクチン(EW29Ch)との比較により、その糖鎖結合能獲得メカニズムを解明することを目的としている。そのために、①13C及び15Nの安定同位体ラベルSRCの大量発現及び精製法の確立、②NMRによる遊離状態及び糖(シアリル酸糖鎖)結合状態でのSRCの立体構造解析、③NMRによるSRCの遊離状態及び糖結合状態での分子内運動の解析、④EW29Chとの立体構造及び分子内運動の比較、を行う。さらに、SRC-糖鎖複合体解析も行い、その分子間相互作用を原子間レベルで解析し、シアル酸糖鎖認識メカニズムを解明する。研究期間3年間の2年目である本年度において、①について、遊離状態でのラベル体SRCの調製法を確立出来た。②について、ラクトース結合状態でSRCの主鎖の構造が溶液状態と結晶状態では、主にγサブドメインで異なっていることを解明するとともに、遊離状態及びシアリルラクトース結合状態でのSRCのNMR測定を行い、主鎖のシグナルについてほぼ帰属が完了した。現在、立体構造のためのNMR測定及びその解析を進めている。③について、遊離状態及びシアリルラクトース結合状態におけるSRCの分子内運動解析のための15N緩和測定を行い、現在解析を進めている。④について、SRCとの比較のために、EW29Chについても15℃での15N緩和測定及び解析を行った。従って、本研究は概ね順調に進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度、ラクトース結合状態でのシアル酸結合性レクチン(SRC)の主鎖構造を溶液状態と結晶状態間での比較を行うとともに、遊離状態でも安定な安定同位体ラベルタンパク質の調製法を確立し、遊離状態及びシアリルラクトース結合状態でのSRCのNMR測定と主鎖シグナルの帰属、さらに、分子内運動の解析のための15N緩和測定を行った。次年度においては、安定同位体ラベルタンパク質を用いて、遊離状態及びシアル酸糖鎖(シアリルラクトース等)結合状態のSRCの溶液中での立体構造及び分子内運動の解析を行うとともに、EW29Chとの構造及び分子内運動の比較を行い、シアル酸糖鎖結合能獲得メカニズムを解明する。さらに、糖鎖-SRC複合体解析や13Cラベル体糖鎖によるSRCとの相互作用解析を行い、糖鎖-SRC間の分子間相互作用についても、詳細に解析を進める予定である。
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Research Products
(2 results)