2014 Fiscal Year Annual Research Report
構造生物学的解析によるR型レクチンのシアル酸含有糖鎖結合能獲得メカニズムの解明
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24580500
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Research Institution | National Agriculture and Food Research Organization |
Principal Investigator |
逸見 光 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構, 食品総合研究所食品分析研究領域, 上席研究員 (70353993)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
久野 敦 独立行政法人産業技術総合研究所, 糖鎖創薬技術研究センター, 上級主任研究員 (50302287)
平林 淳 独立行政法人産業技術総合研究所, 幹細胞工学研究センター, 首席研究員 (40156691)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 蛋白質 / 糖鎖 / NMR / レクチン / 糖認識ドメイン |
Outline of Annual Research Achievements |
これまで申請者らは、ガラクトースに特異的な糖結合活性を持つR型レクチン(EW29Ch)の糖鎖結合メカニズムをNMR法により解析した。さらに、このレクチンを分子進化工学的に改変させてシアル酸結合性レクチン(SRC: Sia-Recognition EW29Ch)を創製し、X線結晶構造解析を行ったが、その特異的な糖鎖結合能獲得メカニズムについては十分な情報を得ることができていないことから、本研究では、NMRを用いて、そのメカニズムを解明することを目的とする。昨年度までに、ラクトース結合状態でのSRCのNMRシグナルの完全帰属および15N緩和測定による分子内運動の解析を行った。本年度は、昨年度に引き続き、遊離状態および6’-シアリルラクトース(6’-SL:6’-sialyllactose)結合状態でのSRCのNMRシグナルの完全帰属を行った結果、サブドメインαおよびサブドメインγ中の糖鎖との結合に関与する残基が6’-SL結合状態のみ2つのシグナルが同時に観測され、しかも、遊離状態やラクトース結合状態でのケミカルシフトと異なることから、結晶構造と異なり溶液中では、6’-SL結合状態においてSRCは遊離状態やラクトース結合状態と異なる2つのコンフォメーションをとることが示唆された。また、遊離状態および6’-SL結合状態での15N緩和測定による分子内運動の解析の結果、ラクトース結合状態と同様、EW29Chに比べサブドメインγのループ領域(K233-A240)の分子内運動が著しく高いこと、さらに、6’-SL結合状態でのみA240の分子内運動がS239 とシアル酸との水素結合形成により抑制されることから、このループ領域がシアル酸との結合に重要であることが分かった。次に、STD-HSQC法により、6’-SLのSRCとの相互作用部位解析を行った結果、ラクトースの部分ではガラクトース残基が主に結合に関与すること、また、シアル酸については、SRCとの水素結合を形成する部位以外でも相互作用することが分かった。
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