2013 Fiscal Year Research-status Report
アンチWacker型環化反応の機構解析および多環式生物活性物質合成への応用
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24590004
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
塚本 裕一 東北大学, 薬学研究科(研究院), 助教 (70323037)
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Keywords | アンチWacker型環化反応 / パラジウム / ホスフィン配位子 / 位置選択性 / 置換基効果 / 環化メカニズム / haouamine B |
Research Abstract |
平成25年度は,平成24年度に引き続き,平成26年度に実施予定であった多環式生物活性物質の合成を行った.平成24年度においては,haouamine Bの初期提唱構造であったiso-haouamine Bの形式合成を行ったが,インデノテトラヒドロピリジンをラセミ体で合成していたため,平成25年度においてはその不斉合成を行った.丸岡らの手法によりフェニルアラニン誘導体を90%以上の光学純度で合成した後,数工程を経て,アンチWacker型環化反応に必要なアルデヒドを調製した.また,合成過程で選択的にラセミ体を結晶として取り除く手法を見出し,光学的に純粋なインデノテトラヒドロピリジンを10グラムスケールで得ることに成功した.さらに,本合成法はアザパラシクロファン前駆体を2グラムスケールで供給可能であった.しかしながら, 文献既知法によるアザパラシクロファン構築の再現が困難であったため,別途合成法についても検討を行った. すなわち,アザパラシクロファンに含まれる2,5-二置換フェノールを,2-シクロへキセン-1-オンの酸化ではなく,5―アルコキシ-2-シクロへキセン-1-オンの脱離によって構築しようと考えた.インデノテトラヒドロピリジンとのカップリングに必要なホウ素化合物をキナ酸より10グラムスケールで調製することに成功したものの,マクロ環化が現時点では進行していない,今後,文献既知法および別途合成法の両手法を検討し,iso-haouamine Bの不斉全合成を達成する.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
アンチWacker型環化反応を利用した多環式生物活性物質の合成については,当初の計画よりも前倒しで検討を開始したため,平成26年度にhaouamine Bの訂正構造を合成できる目処が立った.ただし,当初予定していた合成計画とはルートが異なるため、当初の計画についても併せて検討する必要がある. 一方,環化メカニズムの検証に関しては,未だ十分な状況証拠が揃っておらず,パラジウム触媒の単独作用もしくは有機金属試薬との協同作用のいずれによるものなのか明らかでない.しかしながら,「今後の研究の推進方策」に述べた実験によって,重要な情報が得られ,平成26年度中に環化メカニズムが明らかになるものと考えている.
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Strategy for Future Research Activity |
パラジウム触媒の単独作用による環化メカニズムの検証に関しては,最も反応性の高い基質であるエンイン-アルデヒドを用い,一酸化炭素やイソニトリル存在下での反応や,非金属性求核剤との反応を検討する. また,パラジウム触媒と有機金属試薬との協同作用による環化メカニズムの検証では,環化反応とプロパルギル基の脱離が競合する反応基質(トルエンスルホンアミドテザーを有するα置換ケトン)を用い,環化体と脱離体の比率が求核剤に依存するか検証する.さらに,電子供与性基および電子求引性基を有するアリールボロン酸を当量混合し反応を行うことで,それぞれのアリールボロン酸が導入された環化成績体の生成比が求電子剤に依存するか検証する. さらに,昨年度確立したiso-haouamine Bの合成法に基づき,haouamine Bの訂正構造の不斉全合成を行う.また,当初予定していた分子内求核剤を利用する合成法についても,求電子剤をアルデヒドとしたモデル基質を用いて,再度検討を行う.
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