2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24590007
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
松尾 淳一 金沢大学, 薬学系, 准教授 (50328580)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 有機合成化学 / 全合成 / 付加環化 / ルイス酸 |
Research Abstract |
今回我々は, インドールのC2-C3位の二重結合に対して、シクロブタノンとの環化付加反応が進行すると考え,検討を行った. ルイス酸としてTiCl4を用いたところ, N-Cbzインドールとの環化付加反応が進行し, 環化体を収率93%, エトキシ基の立体化学が異なるジアステレオマーの混合物(endo/exo = 54:46)として得た. N-Cbz-3-メチルインドールを用いた場合にも反応は円滑に進行したが, 環化付加の配向性が完全に逆転することが分かった. N-Bn-3-メチルインドールを用いたところ, N-Cbzインドールと同様の配向性にて反応が進行し, 目的物を得た. 本環化付加反応は, 三環性インドールを用いた場合にも進行し, kopsaneまたはminfiensineの部分骨格を有する化合物を与えた. 3位にチオメチル基を有するインドールとシクロブタノンとの環化付加反応により環化体を得た. この化合物に対しRaneyニッケルを用いて脱硫することにより, 環化体の配向異性体である化合物を合成することができた. つまり, 本環化付加反応により, 配向性を制御して多様な構造のヒドロカルバゾール類が合成できることが分かった. 次に、type Aの分子内[4+2]環化付加反応を鍵反応に用いる(±)-aspidospermidineの全合成を行った. 既知化合物から8工程を経て, 環化前駆体を合成した. 種々の反応条件検討を行った結果, 還流トルエン中, ルイス酸としてTMSOTfを用いることにより, [4+2]環化付加反応が進行し, 目的化合物22を収率46%にて得た. その後, 3工程を経て, (±)-aspidospermidineの全合成を達成した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
交付申請書ではstrictamineの骨格構築を行うこととしていたが、実際はシクロブタノンとインドールとの分子内[4+2]環化付加反応を用いることによって、aspidospermidineの全合成まで達成することができた。当初の予定とは異なるが、それと同等の研究成果があげられたものと考えている。 さらに、予定通りインドール窒素保護基とインドール3位置換基が本環化付加反応に及ぼす位置選択性に関しても明らかにすることができた。 また、ルイス酸を用いて3-エトキシシクロブタノンを活性化することにより, メチルビニルケトン(MVK)に代表されるエノンとの形式的[4+2]環化付加反応は, エノンの炭素‐酸素二重結合間にて進行し, ジヒドロ-γ-ピロンおよびテトラヒドロ-γ-ピロンを与えた. 一方, MVK存在下, 3-ヒドロキシシクロブタノンを用たところ, 炭素-炭素二重結合との[4+2]環化付加反応による成績体を収率71%にて得た. シクロブタノンの3位の置換基がエトキシ基から水酸基に置き換わることにより反応経路が変化し, 異なる成績体が得られることを見出した. そこで、3-ヒドロキシシクロブタノンを用いて, エノンの基質一般性に関して検討を行った. その結果, 末端ビニル基を有するエノンに対して, 効率的に対応するシクロヘキサノン誘導体を与えることが分かった. 一方, 環状エノンおよび共役エステルを用いた場合, 目的物は全く得られなかった. 3-ヒドロキシシクロブタノンの2位の置換基について検討を行った. その結果, 2位がジアルキル置換されたシクロブタノンを用いたいずれの場合においても, 本反応は効率的に進行し, 良好な収率にて多置換型のシクロヘキサノン誘導体を得られることが分かった.
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Strategy for Future Research Activity |
シクロブタノンとインドールとの環化付加反応を用いて、strictamineの全合成へ向けて研究を行う。すなわち、4-アミノシクロブタノン構造を分子内に有するインドールに対し、ルイス酸を用いることにより、分子内[4 + 2]環化付加反応を進行させ、四環性化合物を得る。これにより、ストリクタミンの五つの環のうち、ABCE環の四つの環の構築法を確立する。 引き続き分子内Heck反応によるD環の構築を検討する。立体的に困難である場合には、第二級アミンの酸化によるイミンの生成、それに引き続くN-保護アミナールの還元により位置選択的にC環を開環させ、D環構築に適すると考えられる合成中間体を合成し、再度Heck反応を検討してstrictamineの合成を行う。 また、3-ヒドロキシシクロブタノンは, 最小の環状骨格を有するアルドール体とみなすことができる. レトロアルドール反応を利用することにより, 強力なルイス酸を必要としない温和な条件にて3-ヒドロキシシクロブタノンの開環が起こり, 続いてアルデヒドとの形式的な環化付加反応が進行すると考え, 検討を行った. そこで、ベンズアルデヒド存在下, 10 mol%のZr(OtBu)4を用いてシクロブタノンを活性化することにより, 環化成績体を得る. 同様の反応条件下における3-エトキシシクロブタノンとの反応は全く進行しないことを確認する。本反応は3-ヒドロキシシクロブタノンとZr(OtBu)4とのアルコール交換に引き続くレトロアルドール反応によりシクロブタノン環が開環してエノラートが生成し, ベンズアルデヒドとのアルドール反応と引き続く分子内ヘミアセタール化が進行するという想定の下、不斉反応の開発まで行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
物品費に関してはおおむね計画した予算を使用した。次年度は、旅費として第11回次世代を担う有機化学シンポジウムおよび第39回反応と合成のシンポシンポジウムの旅費に充てる。また、物品費としては、有機シラン化合物の購入など溶剤および金属触媒、有機試薬購入として充てる。
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Research Products
(12 results)