2013 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24590007
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
松尾 淳一 金沢大学, 薬学系, 准教授 (50328580)
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Keywords | 有機合成化学 / 全合成 / 付加環化 / ルイス酸 |
Research Abstract |
Strictamineはキョウチクトウ科の灌木Rhazya strictaから単離されたakuammiline アルカロイドの一種である。モノアミンオキシダーゼ阻害活性を有し、中枢神経抑制作用を示すことが知られている。StrictamineのD環とE環は舟形コンホメーションをとっており、極めてコンパクトかつ特異な縮環構造を有しているために、今までにその全合成は報告されていない。 そこで我々は、Strictamineの5つの環のうちABCEの4つの環構造の構築法として、シクロブタノンとインドールとの分子内環化付加反応を検討した。その結果、3-アミノシクロブタノン構造を分子内に有するインドールに対して三フッ化ホウ素ジエチルエーテル錯体を反応させたところ、円滑に目的とする分子内[4+2]環化付加反応が位置選択的に進行した。引き続き分子内Heck反応によるD環の構築を検討したが、立体的に困難であることが明らかとなった。そこでC環を一度開裂させてD環構築後に再度C環を構築する検討を行った。 続いて、3-ヒドロキシシクロブタノンとエノンとの形式的[4+2]環化付加反応に関して研究を行った。すなわち、エノン存在下三フッ化ホウ素ジエチルエーテル錯体を用いて3-ヒドロキシシクロブタノンを活性化することにより、エノンの炭素―炭素二重結合との形式的[4+2]環化付加反応が進行し、シクロヘキサノン誘導体が得られることが分かった。一方、3―エトキシシクロブタノンを用いた場合はエノンの炭素―酸素二重結合との形式的[4+2]環化付加反応が進行し、成績体としてジヒドロ-γ-ピロン誘導体が得られることが分かった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
シクロブタノンとインドールとの分子内[4+2]環化付加反応を用いて、StrictamineのABCE環を位置選択的に一挙に構築することに成功し、また3-ヒドロキシシクロブタノンと3-エトキシシクロブタノンとの間で、エノンとの環化付加反応に関して明確な反応性の違いを明らかにすることができたため。
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Strategy for Future Research Activity |
シクロブタノンとアルデヒドとの形式的[4+2]環化付加反応を用いて、トロンボキサンB2の不斉全合成を行う。また、シクロブタノンとアゾ化合物との反応により、今まで未検討であった窒素―窒素二重結合に対する環化付加反応を検討する。さらに、エノンのシリルエノールエーテルを用いて、ビニローガスな環化付加反応の位置選択性を明確にする。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究の進捗度合により、トロンボキサンB2の不斉全合成などに必要な高価な不斉合成用の試薬を購入する必要が次年度に生じたため。 不斉合成用試薬および各種有機合成用の試薬および溶剤に使用する。
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Research Products
(9 results)