2013 Fiscal Year Research-status Report
ハロゲン置換不斉炭素構築法の開発と生物活性ハロゲン含有天然物の全合成
Project/Area Number |
24590008
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
好光 健彦 大阪大学, 薬学研究科(研究院), 准教授 (30301576)
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Keywords | ハロゲン化 / 不斉合成 / 医薬化学 / 全合成 / 抗生物質 / 創薬 |
Research Abstract |
興味深い生物活性を有する不斉有機ハロゲン化合物が自然界に数多く見出され、近年、創薬における活用への期待が高まっている。それゆえ、不斉有機ハロゲン化合物の人工的獲得をもたらす化学合成法の確立が望まれているが、この要求に十分に応え得るものは未だ必ずしも多くはない。我々は、顕著な生物活性を示す天然有機ハロゲン化合物の全合成経路を開拓し、医薬リードを創製するとともに、触媒的不斉ハロゲン化の新手法を開発すべく研究を展開した。 平成24年度の研究において、我々は、分子状塩素の代替物として機能するN-クロロコハク酸イミド(NCS)・トリフェニルホスフィン(Ph3P)(2:1)複合塩素化剤を用いるアルケン類の新規ジクロル化手法を開発した。さらに、本反応剤によるデヒドロ-α-ラパコン誘導体のジクロル化を活用して抗生物質ナピラジオマイシン A1の合成中間体を調製した。平成25年度の研究では、引き続き、本全合成経路の開拓を進め、立体選択的四置換炭素構築と続く官能基化を含む数工程を経て、側鎖末端部分を除く構造単位を備えたナピラジオマイシン A1の骨格分子を得ることに成功した。また、これまで調製に多工程を要していたデヒドロ-α-ラパコン誘導体の新たな合成経路を開拓し、その獲得における短工程高効率化に成功した。さらに、不斉ジクロル化反応の開発に向けた触媒システムの創製とその評価により、低光学収率ながらアリルアルコール類の不斉ジクロル化に有効な触媒を見出した。今年度見出した上記の数々の新知見は、本研究の今後の進展に大いに寄与するものである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
前年度に引き続き、放線菌 Chainia rubra MG802-AF1 由来の抗生物質ナピラジオマイシン A1の全合成経路の開拓を進め、ナピラジオマイシンの側鎖末端部分を除くすべての構造単位を備えた骨格分子を得ることに成功した。また、これまで調製に多工程を要していたデヒドロ-α-ラパコン誘導体の新たな合成経路を開拓し、その獲得の短工程高効率化に成功するなど、全合成経路の開拓に関しては、計画通り、概ね順調に進んでいるといえる。一方、不斉ジクロル化手法の開発に関しては、未だ実用レベルに至る触媒の発見には至っていないものの、今後の触媒設計において有用な指針となる知見を得ている。
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Strategy for Future Research Activity |
ハロゲン含有抗生物質ナピラジオマイシンA1の化学合成の完了に向けた最終工程の確立に挑む。上述のように、既に標的天然物の骨格を有する合成中間体の創製に成功していることから、本中間体への側鎖の導入を鋭意検討し、全合成経路を確立する。また、これに関連して、共同研究者の協力の下、これまでに得ている各種ナピラジオマイシン合成中間体の生物活性を評価し、医薬資源の開拓に繋げたい。一方、不斉触媒の探索に関しては、引き続き最終年度にも継続して行うが、これに並行して、先に見出したN-クロロコハク酸イミド・トリフェニルホスフィン複合塩素化剤を基盤とする不斉反応の開発も試みる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究の進捗状況に応じて適宜研究費を支弁したこと、並びに、実験機器購入を次年度に計画したため、当初の見込み額より本年度執行額が少ない結果となった。 申請交付時の研究計画に変更はない。当初の研究目的の達成に向け、次年度計画的に経費を支弁する予定である。特に、種々の試薬や実験機器の購入等、研究に求められる資材の調達に研究費を使用する。
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Research Products
(18 results)
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[Journal Article] An Integrated Approach to the Discovery of Potent Agelastatin A Analogues for Brain Tumors: Chemical Synthesis and Biological, Physicochemical and CNS Pharmacokinetic Analyses2013
Author(s)
Li, Z.; Shigeoka, D.; Caulfield, T. R.; Kawachi, T.; Qiu, Y.; Kamon, T.; Arai, M.; Tun, H. W.; Yoshimitsu, T.
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Journal Title
Med. Chem. Commun.
Volume: 4
Pages: 1093-1098
DOI
Peer Reviewed
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