2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24590014
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Toyama Prefectural University |
Principal Investigator |
中島 範行 富山県立大学, 工学部, 教授 (40188959)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 茶カテキン / 代謝物 / 化学合成 / 生理活性 |
Research Abstract |
本研究の目的は、茶カテキンの活性本体が「茶カテキンあるいはγ-ラクトン誘導体のどちらの化合物由来なのか」を探ることであり、光学的に純粋な代謝物の合成を行なった上で、活性の評価を行なうことである。(+)-カテキンや茶カテキンから得られるγ-ブチロラクトン化合物は9種と予想され、現在までに (+)-カテキン由来の3種と茶カテキン由来の5種が腸内細菌の代謝物として単離同定されている。この内、申請者は6種の化学合成を完了しており、本研究では、残りの3種とエナンチオマー2種に加え、新規にデザインした誘導体3種を加えた計14種の代謝物を数百ミリグラムスケールで合成を行う計画である。 今年度は、合成を完了している化合物のエナンチオマー2種と新たに芳香環部位の2’位に水酸基を有する誘導体2種の数百ミリグラムスケールでの合成を完了した。後者の合成では、フェノール性水酸基の保護基にシリル基を用いた場合、カップリング反応の際に予想外の転位反応が進行したが、反応溶媒の検討によって収率良く生成物を得ることができた。さらにメトキシ基を水酸基の保護基に代えることによって、行程数を減らした合成を達成することができた。共同研究者に合成した化合物サンプルを譲渡し、これら化合物が有する様々な作用(抗酸化作用、抗突然変異作用、抗癌作用、抗菌作用、抗アレルギー作用等)を測定するとともに、構造活性相関について検討を開始した(活性試験は平成25年度も継続)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画のうち、芳香環部の水酸基がフリーであるγ-ブチロラクトン化合物の合成を完了した。メトキシ化されている化合物の合成が未完成であるが、保護基の検討も含め、メトキシ化されている化合物の合成ルートは確立できていることから、これらの合成の難度はそれほど高くないと想定しており、計画年度での達成は可能である。
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Strategy for Future Research Activity |
化合物のライブラリーが揃ったことから、構造活性相関の解明に向け、来年度からは化合物の評価や新たな活性探索に力を注ぐ予定である。特徴的かつ優れた活性を有する化合物を選別できれば、グラムスケールでの合成を行なう必要がある。細胞や動物での試験を取り入れながら詳細な活性評価を行い、生物活性分子の創製を目指したい。 さらに、カテキンの3位にアシル基を導入した誘導体に高いDNAポリメラーゼ阻害剤活性を始めとする様々な生理活性を見出したことから、芳香環部の水酸基に飽和および不飽和脂肪酸を導入した誘導体の合成を行ない、その活性を探索したい。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
引き続き、計画中である芳香環部の水酸基がメトキシ化されているγ-ブチロラクトン化合物の合成を行なう計画である。研究費は、この合成に用いる実験器具や原料や反応試薬、分離精製等に使用するシリカゲル等の充填剤や溶媒の経費にあてる計画である。 共同研究者等の活性の探索においてかかる経費については、共同研究者の負担とする予定である。
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