2013 Fiscal Year Research-status Report
アジド試薬を窒素源とする芳香族アミンとアジド化合物の不均一系触媒依存的選択的合成
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24590015
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Research Institution | Gifu Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
門口 泰也 岐阜薬科大学, 薬学部, 准教授 (40433205)
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Keywords | 芳香族第一級アミン / 芳香族アジド / 不均一系触媒 / 銅 / 機能性物質 / 触媒・化学プロセス / 有機化学 / 合成化学 |
Research Abstract |
イミノジ酢酸基あるいはポリアミノ基を有するポリスチレン系キレート樹脂を担体とする12% Cu/CR11(イミノジ酢酸型)あるいは7% Cu/CR20(ポリアミン型)を用いた芳香族アジド化及びアミノ化反応の基質適用性を検討した。 「芳香族ハロゲン化合物をNaN3 (2当量)、12% Cu/CR11 (10 mol%)及びDMEDA (20 mol%)とともに、80%エタノール中100 °Cで攪拌する」条件下で、様々な芳香族ハロゲン化合物のアジド化反応を実施した。その結果、ベンゼン環の官能基の電子的性質や置換位置に関わらず、ヨードベンゼン誘導体のアジド化は効率良く進行した。一方、ブロモベンゼン誘導体では、ベンゼン環の電子密度が反応の進行に大きく影響し、電子リッチな基質が高い反応性を示した。また、クロロベンゼン誘導体は反応性が低く、4-chloroanisoleのアジド化は全く進行しなかった。なお、4-ヨード安息香酸エチルのアジド化について触媒の再利用性を検討したところ、4回目までの回収再利用に成功した。 また、「芳香族ハロゲン化合物をNaN3 (3当量)及び7% Cu/CR20 (100 mol%)存在下DMA中100 °Cで攪拌する」条件を用いて、様々な芳香族ハロゲン化合物のアミノ化反応を検討した。ベンゼン環に電子求引性基が置換したヨードベンゼン誘導体のアミノ化では、置換基の位置に関わらず良好な収率で対応するアニリン誘導体を得ることができた。また、電子供与性のメチル基やメトキシ基が置換した比較的電子リッチなヨードベンゼン誘導体の場合には、アニリン誘導体の収率は中程度であった。ブロモベンゼン誘導体のアミノ化もヨードベンゼン誘導体と同様に、ベンゼン環の電子密度が反応効率に影響を及ぼし、電子欠乏性ブロモベンゼン誘導体が良好な反応性を示すことが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初予定していた、Cu/CR11あるいはCu/CR20を用いた、芳香族第一級アミンと芳香族アジドの触媒依存的な合成反応について、基質適用性を明らかとした。また、4回目までの触媒の回収・再利用性にも成功しており、順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度で検討した、Cu/CR11を触媒とする4-ヨード安息香酸エチルのアジド化における触媒の再利用性について機器分析に基づく考察を加える。すなわち、反応後の触媒のろ去により得られたろ液の銅濃度を原子吸光光度分析法あるいは誘導結合プラズマ発光分析法により測定することで、触媒からの銅の溶出の有無を調べる。Cu/CR11は4回目まで回収・再利用は可能であるが、収率の若干の低下が確認されており、銅の溶出の可能性も考えられる。銅の溶出が検出された場合、ろ液にキレート樹脂を新たに投入することで銅の除去方法として、あるいはCu/CR11に加えて金属を担持していないCR11を添加して反応することで銅が溶出しない反応として確立する。 また、触媒の各種機器分析結果から、触媒の特徴を明らかとする。特にX線光電子分光分析による銅の酸化数と電子線プローブミクロ分析による触媒上(あるいは触媒内)の銅の分布は触媒活性に影響を及ぼすものと考えられるため綿密に調べる。また、反応前後の銅の酸化数を確認することで、反応中の電子の授受を考察する。芳香族アミノ化における添加剤検討結果と合わせることで、アジド基の還元メカニズムの解明を試みる。また、アジド化とアミノ化の選択性に及ぼす影響も考察する。 フッ化銅及びトリメチルシリルアジドを用いて2-ブロモジフェニルアセチレンをアミノ化すると、閉環反応がワンポットで進行し、2-フェニルインドールが69%の収率で生成する得られることが明らかとなっている。この知見を基にして、Cu/CR20の使用並びに条件の精査により収率の向上を図る。また、Cu/CR11を用いたアジド化の条件でも同様の反応が進行するのかを調べることで、アジド体経由の閉環反応の可能性を確認する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成25年度に予定していた、銅濃度の定量を含む、触媒の機器測定が終了しなかったことによる。 平成25年度分の残額を平成26年度に移行し、平成25年度に終了しなかった触媒の機器測定費に充てる。
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