2013 Fiscal Year Research-status Report
新しい分子標的抗がん剤の開発を指向した生物活性天然物の合成研究
Project/Area Number |
24590017
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Research Institution | Tohoku Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
加藤 正 東北薬科大学, 薬学部, 教授 (50382669)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
渡邉 一弘 東北薬科大学, 薬学部, 講師 (10382673)
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Keywords | 分子標的治療薬 / 生物活性天然物 / 抗腫瘍活性物質 / 全合成 / TAN-1813 / HDAC阻害剤 / FK228 / スピルコスタチン |
Research Abstract |
1) p21rasファルネシルトランスフェラーゼ阻害剤 TAN-1813の全合成に関する研究 昨年度までの研究結果では、スクシンイミドセグメントを合成の序盤に導入することでデカリンセグメントとの連結に成功していた。今年度は得られたカップリング体から TAN-1813 への誘導を行った。しかしながら、カップリング体から TAN-1813 への誘導は立体的要因あるいは含窒素化合物という点から非常に困難であった。そこで、合成計画の見直しを行い、合成の終盤におけるスクシンイミドセグメントの導入について再度検討を行った。その結果、フェニルチオ基を有するスクシンイミドセグメントのヨウ化サマリウムを用いたReformatsky 反応が立体的に込み合ったデカリンセグメントに対しても円滑に進行することを見出し、両セグメントの連結に成功した。 2) ヒストン脱アセチル化酵素 (HDAC) 阻害剤 FK228 の類縁体合成に関する研究 今年度は昨年度までに得られた知見を基に、5位置換基およびその立体配置の影響について検討を行った。5位置換基を構成するアミノ酸として、L- / D-アラニン、L- / D-ロイシンおよび L- / D-フェニルアラニンを用いた FK228 類縁体をそれぞれ合成した。これまでの類縁体合成と同様の手法、すなわち、二つの長鎖セグメントを連結させるコンバージェント合成法はこれら類縁体の合成にも適応可能であり、所望の置換基を有する 6 種の類縁体の合成に成功した。これら類縁体の生物活性評価から L-アミノ酸由来の類縁体ではその HDAC 阻害活性およびアイソフォーム選択性が著しく低下するものの、D-アミノ酸由来の類縁体では HDAC 阻害活性を損なうことなく、FK228 よりも高いアイソフォーム選択性を示すことを見出した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
TAN-1813の合成では合成の終盤において、フェニルチオ基を有するスクシンイミドセグメントのヨウ化サマリウムを用いた Reformatsky 反応が立体的に込み合ったデカリンセグメントに対しても円滑に進行することを見出し、両セグメントの連結に成功している。また、FK228 の類縁体合成においては 5 位置換基の影響について検討をおこなったところ、D-アミノ酸由来の類縁体において FK228 を上回るアイソフォーム選択性を有する類縁体の創製に成功している。従って、概ね順調に進行していると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
TAN-1813 の合成ではデカリンセグメントおよびスクシンイミドセグメントのカップリング反応において生じた水酸基を酸化した後、スクシンイミド部のマレイミドへの変換、続く各保護基の脱保護を行うことによって、TAN-1813 の初の全合成達成を目指す。FK228の類縁体合成においては 5 位置換基の影響についてさらに検討を行うこととする。特に、D-フェニルアラニンから合成した類縁体が HDAC のアイソフォーム選択性およびがん細胞パネルに対する増殖抑制活性が優れていたことから、芳香環上の置換基の影響について精査したいと考えている。
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Research Products
(22 results)