2012 Fiscal Year Research-status Report
グリコシル結合軸の回転の制御に基づく新規糖含有生理活性物質の創製
Project/Area Number |
24590020
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Research Institution | Teikyo University |
Principal Investigator |
高橋 秀依 帝京大学, 薬学部, 教授 (10266348)
|
Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
|
Keywords | グリコシル化 / 軸不斉 / 立体構造 |
Research Abstract |
抗がん活性を示す天然物であるレベッカマイシンの全合成及び類縁体合成を行い、構造活性相関研究に展開しつつある。特に、複素環部位と糖部位によって構成される分子全体の三次元的な構造について詳細に検討し、標的タンパクとの相互作用様式解明をめざしている。レベッカマイシンは、インドール環7位にクロロ基が存在するため、グリコシル結合(sp2窒素―sp3炭素結合)の周囲が立体的にこみあった状態にあると予想される。そこで、今年度は、さらに嵩高い置換基を導入し、より立体障害を高めたレベッカマイシン類縁体を合成している。特に、7位クロロ基の代わりにブロモ基を導入した化合物は、天然物として単離されて(ブロモレベッカマイシン)いるが、未だに全合成はなされていない。本年度は、インドロカルバゾール部位へのグリコシル化を精査し、N-グリコシド結合の立体化学を明らかにしつつある。天然物はβ-結合体であるが、α-結合体では、立体障害によりsp2窒素―sp3炭素結合の回転がより効率良く制御され、軸不斉異性体を得られる可能性が高い。これまでの検討の結果、高いα選択性を示すグリコシル化反応を見出すことができた。現段階では、保護基を有したブロモレベッカマイシン誘導体の合成まで完成しており、NMRを用いた三次元的な構造解析を詳細に行っている。特に、sp2窒素―sp3炭素結合の自由回転を抑えた化合物について、軸不斉異性体の分離・単離を試み、立体構造及び安定性を調べている。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は、レベッカマイシンの誘導体の合成を行っているが、すでに、鍵反応となるグリコシル化について立体選択性を高める方法を見出している。 また、それぞれの立体異性体を単離し、構造決定することもできている。特に、VTNMRを用いた溶液中での構造の変化について詳細なデータを得ることができており、コンホメーションの予想ができるようになってきた。 これは、当初の初年度の計画どおりの進捗状況であり、おおむね順調に進展していると評価した。
|
Strategy for Future Research Activity |
次年度は、レベッカマイシンの誘導体を数種類合成することをめざす。特に、天然物として存在が確認されているブロモ誘導体(ブロモレベッカマイシン)の全合成を世界で初めて完成させたい。グリコシル結合(sp2窒素―sp3炭素結合)についてもVTNMRやX選結晶解析を用いて三次元構造を明らかにする。立体構造を精査することによって安定な化合物として軸不斉異性体を単離することができれば、これを用いて生理活性の検討を行い、レベッカマイシンとターゲットタンパクとの相互作用様式の解明を行う。 以上のような取り組みによって得られた知見に基づき、より高い抗がん活性をもつレベッカマイシン誘導体を創出する。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
今年度は、研究計画に沿ってほぼ予定通りの研究を行うことができた。その際に、使用する試薬やガラス器具を節約する努力を続けたことによって、次年度に使用する助成金が生じることとなった。次年度は、翌年度分として請求した金額とあわせてすべて物品費(消耗品として化学合成用の試薬及びガラス器具)に充てる予定である。
|
Research Products
(4 results)