2012 Fiscal Year Research-status Report
食用植物の多岐に亘る生理機能性の分子レベルでの解明
Project/Area Number |
24590022
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
小野 政輝 東海大学, 農学部, 教授 (60177269)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
安田 伸 東海大学, 農学部, 准教授 (10512923)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 食用植物 / 生物活性成分 / 機器分析 / 化学構造 / 抗酸化活性 / 抗動脈硬化活性 / ブラックベリー / クサギ |
Research Abstract |
生活習慣病等の予防や病態の軽減のために食品を活用するという社会的ニーズが高まっているが、本研究課題では、食用植物中に含まれる成分の化学構造と生物活性、ならびにそれらの成分の一斉分析法を開発することを目的とし、今年度は下記の研究実績を得た。 1.生食の他ジャムなどの加工食品に利用されるブラックベリー(Rubus allegheniensis Port.)果実のエキスから各種オープンカラムクロマトグラフィーならびに高速液体クロマトグラフィーを駆使し、16種の化合物を分離・精製(単離)した。また、それらの構造を質量分析ならびに核磁気共鳴スペクトル等の機器分析を用いて明らかにした。さらに、本植物より得た8種のトリテルペンに動脈硬化の原因となるマクロファージの泡沫化抑制活性試験を行い、活性を示す化合物を見出した。 2.精進料理に利用される山菜であるクサギ(Clerodendron trichotomum Thunb.)の葉から、6種の化合物を単離し、構造決定した。また、単離した成分に4種の抗酸化活性試験[[1,1-diphenyl-2-picrylhydrazyl(DPPH)ラジカル消去活性試験, スーパーオキシド消去活性試験,過酸化水素消去活性試験,NO消去活性]を行い、1種のフェニルプロパノイド配糖体にDPPHラジカル、過酸化水素ならびにスーパーオキシドの各消去活性試験で強い活性を見出した。また、1種のフラボノイドに弱いながらも、NO消去活性を確認した。 3.レタス(Lactuca sativa)、キャベツ(Brassica oleracea var. capitata)、セロリ(Apium graveolens var. dulce)、サツマイモ (Ipomoea batatas)ならびにショクヨウホオズキ(Physalis pruinosa)の各メタノールエキスを作成した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究課題では、食用植物中に含まれる成分の化学構造と生物活性、ならびにそれらの成分の一斉分析法を開発することを目的とするが、初年度は、各種食用植物のエキスの作成、それらのエキスの生物活性試験、ならびに、研究途上にある植物エキスから化合物を単離する計画を立てた。これらのうち、研究実績の概要で述べたように、5種の食用植物についてエキスの作成を行った。また、キイチゴの1種のブラックベリーについては、成分の単離、構造決定ならびにマクロファージの泡沫化抑制活性試験を行った。さらに、クサギの葉の成分についても、化合物の単離、構造決定ならびに、単離した成分について各種抗酸化活性試験を行い。活性を示す化合物を見出した。さらに、トマトの成分に関しても、化合物の単離には至っていないが、順調に分離を進めている。
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度は、分離途上にあるトマトならびにブラックベリーに含まれる機能性成分を単離、構造決定するとともに、それらの抗酸化活性、抗炎症活性、がん細胞増殖抑制活性ならびにアンチエージング活性等を測定する。また、新たに作成した5種のエキスについても、各種活性試験ならびに成分研究を実施する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度の研究費は、消耗品費としておもに、試薬類、ガラス器具類、オープンカラム用担体、ならびにHPLC用カラムに使用する。また、当該年度に消耗品費として計上していたうち449,927円については、次年度に繰り越して継続して使用する。なお、1品又は1組若しくは1式の価格が50万円以上の物品の購入は予定していない。
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Research Products
(2 results)