2013 Fiscal Year Research-status Report
分子内アルドール反応を基軸とした天然物の効率的合成法の開発
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24590023
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Research Institution | Tokyo University of Pharmacy and Life Science |
Principal Investigator |
伊藤 久央 東京薬科大学, 生命科学部, 教授 (70287457)
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Keywords | 全合成 / 生理活性物質 / 天然有機化合物 / 不斉合成 |
Research Abstract |
当プロジェクトでは,2種の特異な骨格を有する天然有機化合物(albaflavenoneとaberrarone)について,分子内アルドール反応を駆使した戦略に基づき全合成法の確立を目指すものである.平成24年度にalbaflavenoneのラセミ体での短工程かつ保護基を用いない全合成法の確立に成功したので,平成25年度は各工程の精査による反応条件の最適化と不斉合成について検討した.その結果,各工程の精査による反応条件の最適化をほぼ達成した.不斉合成に関しては,出発原料となる物質を触媒的不斉合成により中程度の光学純度で得ることが出来た.これにより,満足のいく光学純度ではないがalbaflavenoneの不斉全合成を達成し,天然物の絶対立体配置の決定に成功した. Aberraroneの全合成に関する検討も着実に進めている.平成24年度に4環性骨格のうち2環性骨格の構築に成功した.さらに立体選択的1,4-付加反応と続く分子内アルドール縮合を駆使した環形成を進め,現在3環性骨格の構築に成功している.このものは全合成に必要な官能基がすべて揃っており,引き続く検討で4環性骨格の構築と全合成達成を目指す.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
Albaflavenoneの全合成に関しては,ほぼまとまっており,現在全合成として論文を作成中である.Aberraroneに関しては担当大学院生が卒業し,次の院生に引き継いだため多少進展が遅れたが,平成25年度中に3環性骨格構築に成功し,第134回日本薬学会年会にて発表した.また,この際に発表した大学院生が優秀発表賞を頂いた.4つ目の環構築の準備も順調に進んでおり,最終年度である平成26年度中に全合成を達成できるものと考えている.
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Strategy for Future Research Activity |
先にも述べたが,Albaflavenoneの全合成に関してはほぼまとまっており,現在全合成として論文を作成中であり,早急に論文発表を行う.Aberraroneに関しても,4環性骨格構築の方法論の開発,すなわち3環性骨格構築の際に用いた立体選択的1,4-付加反応と引き続く分子内アルドール反応による環構築法開発にはすでに成功していることから,全合成達成を可能とするすべての官能基が揃った3環性骨格に対して本方法論を適用し,4つ目の環構築を検討する.また,これらの反応はすべて立体選択的に進行しており,さらに極力保護基を用いない経路である.
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