2013 Fiscal Year Research-status Report
分子標的型インドールアルカロイドの新規合成とそのアポトーシス誘導抗がん機序の解明
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24590025
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
小中原 猛雄 東京理科大学, 理工学部, 教授 (80084333)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
坂井 教郎 東京理科大学, 理工学部, 准教授 (00328569)
池田 玲子 東京理科大学, 理工学部, 助教 (60516441)
青木 伸 東京理科大学, 薬学部, 教授 (00222472)
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Keywords | 抗がん剤 / アポトーシス / チューブリン重合阻害 / 合成 / ヘテロ環 / β-カルボリン / エリプチシン / 配糖体 |
Research Abstract |
(i)β-カルボリン誘導体の抗腫瘍活性発現における構造最適化とその作用機構の解明:我々がこれまでに開発した3-(3-phenoxybenzyl)amino-β-carboline (1)の高い抗腫瘍活性を凌駕する高い活性をもつ誘導体の開発のために、昨年度に続き、化合物1の1位置換基の最適化を行った。また、化合物1の水溶性向上のために、9位にPEGエステルやグルコースを導入した。また、8位にカルバミン酸グルコースエステルを導入することにも成功した。また、化合物1の3'-フェノキシ基のエーテル酸素原子が活性に与える影響を明らかにするために、OをNHに置き換えた化合物を合成した。そして、これらの化合物のHeLa S-3に対する細胞毒性を評価した。さらに化合物1のin vivo抗腫瘍活性を明らかにするために、HeLa S-3担がんマウスマウスを用いた動物実験を行った。その結果、化合物1はがん細胞の増殖を抑制する効果を示した。 (ii)エリプチシンの5-カルボン酸PEGエステルや9位配糖体の合成とその細胞毒性の評価:11-methyl-6H-pyrido[4,3-b]carbazole-5-carboxylic acid(エリプチシン類縁体)のPEGエステルを種々合成することに成功した。また、エリプチシンの9位にグリコシル基を導入することにも成功した。さらに、これらの化合物の水溶性とHeLa S-3に対する細胞毒性を明らかにした。 (iii)エリプチシン(2)の新規全合成法の開発:我々はすでに化合物2の新規全合成を報告した。今回、その改良法としてフェノール誘導体とイソキノリン誘導体を出発原料とする遷移金属触媒カップリング反応を用いる新しい収束型全合成法を開発した。この方法は従来法より短いステップ数で2を合成できるだけでなく、種々の6位置換体を高収率で容易に合成できる画期的な方法である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究実績の概要で述べたとおり、β-カルボリンおよびエリプチシンの配糖体やPEGエステルの合成に成功した。これらの化合物の水溶性は親化合物のそれよりも大きく向上し、予想通りPEG鎖やグリコシル基の導入は水溶性の向上に有効であった。また、HeLa S-3に対するこれらの化合物の抗腫瘍活性は分子量の増大とともに大きく減少することはなく、一定の満足できる値を示した。さらに、HeLa S-3担がんマウスを用いた動物実験の結果、化合物1はがん細胞の増殖を抑える効果をもつことがわかった。そして、エリプチシンの効率的新規全合成法の開発にも成功し、その一般性を確認することができた。以上より、本プロジェクトはおおむね順調に進展していると判断できる。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでに合成に成功した高水溶性β-カルボリン誘導体の合成反応の条件をさらに詳細に検討し、収率の向上を図るとともに各種誘導体を合成する。そして、これらの化合物の抗腫瘍活性の評価を行うほか、配糖体がGLUTにより効率的に細胞内に移送されるかどうかを明らかにする。さらに、現在IC50値がμMオーダーにあるβ-カルボリン誘導体やエリプチシン類縁体の抗腫瘍活性をnMオーダーまで高めるために、フッ素原子などの置換基を導入する。また、エリプチシン誘導体の水溶性の向上および配糖体の合成法の改良、フルオラス固相法によるβ-カルボリンおよびエリプチシン配糖体の合成に関しても研究をさらに進める。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
当初予定していた動物実験を縮小したことや原料の3-アミノ-β-カルボリン(50 g、約50万円)を前年度別予算で購入したため、今年度の支出を抑えることができ物品費が予算額を下回った。しかし、これを無理に使うことなく最終年度の26年度に繰り越して、有効に使う方が得策と考えた。 25年度からの繰越額\851,464に25年度交付予定額\500,000をあわせて研究推進のために効率的に使用する。最終年度であるため、25年度に明らかになった上記問題点を重点的に解決し、研究のさらなる促進・展開を図るために高価ではあるが、糖置換基導入剤としてアジ化グルコースや鎖長を制御したPEGを購入し、高水溶性のβ-カルボリンおよびエリプチシン誘導体を合成するのに用いたい。また、合成した目的化合物と酵素との相互作用を明らかにするために、各種酵素を購入したい。
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Research Products
(42 results)