2013 Fiscal Year Research-status Report
ビスオキサゾリンリガンドの特性を利用した新規連続反応の開発
Project/Area Number |
24590026
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Research Institution | Toho University |
Principal Investigator |
加藤 恵介 東邦大学, 薬学部, 教授 (80276609)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
日下部 太一 東邦大学, 薬学部, 講師 (00600032)
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Keywords | パラジウム / カルボニル化 / ビスオキサゾリン / カップリング / フラノン / CCC-coupling |
Research Abstract |
目的1: Box-Pd(II)による環化-カルボニル化-環化-カップリング反応(CCC coupling反応)の開発 (1) 反応の基質として、種々の置換基を有するプロパルギルジケトン類、 プロパルギルヒドラジン類およびプロパルギルウレア類を合成した。(2) それぞれの反応について、パラジウム触媒の種類やリガンドの種類について検討した。その結果、比較的良好な結果を与えたパラジウム触媒および配位子を用いて溶媒の検討を行い、反応条件の最適化を行った。(3) 内部アルキンを含む基質一般性を検討し、2つのフラン環、ピラゾール環および2-アミノ-2-オキサゾリン環を有するケトン類の合成法として確立することができた。 目的2:プロパルギルカルバメートの環化-カルボニル化-脱炭酸-環化反応の開発 確立した反応条件を用いて、A 環および D 環にスピロフラノン構造を有する新規ステロイド類を合成した。また、ステロイドC17位に関するジアステレオマーを別途合成し、2種のジアステレオマーの反応を比較することで、フラノンへの環化がSN1機構で進行していることを、さらに13COの取り込み実験などから反応機構を明らかにした。生成物の立体化学は、持田智行 神戸大学教授(研究協力者)との共同研究で、X-線結晶構造解析により決定できた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
Boxリガンドの特性とは、boxがPd(II)の配位子となることで“Pd(II)のσ-bindingなルイス酸性を弱めると同時に、π-bindingなルイス酸性を強くする”というもので、最近申請者が見出し提唱している。 CO雰囲気下、box-Pd(II)触媒を用いプロパルギル化合物を処 理すると、このboxリガンドの効果によって、従来報告されている反応経路が抑制され、新しい連続反応((1) 環化-カルボニル化-環化-カップリング反応または(2) 環化-カルボニル化-脱炭酸-環化反応)が一挙に進行し、医薬品や天然物の構造として重要な、新規ジヘテロアリールケトン類およびスピロフラノン類が一工程で合成できることを明らかにすることを目的として研究を遂行してきた。その結果、25年度の研究実施計画に記載した事項は、全て達成されその一部は2報の論文として公表されている。(Angew. Chem. Int. Ed. 2013, 52, 7845-7849. Org. Biomol Chem. 2013, 11, 4943-4948.)
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Strategy for Future Research Activity |
25年度までは計画通り、上記2種の反応が良好に進行することを明らかにできたが、26年度以降には、さらなる基質一般性の拡大を検討し(2-アルキニルフェニルメトキシメチルスルフィド類および 2-アルキニルアニリン類)、医薬品化学的に重要な、2つのベンゾチアゾール環および 2つのインドール環を有するジアリールケトン類の合成法として確立する。また、2種類の基質を同時に反応させることで、異なった複素環を有する非対称ケトンを合成することを目的とし、クロスカップリング反応を検討する。さらに、フェノール性水酸基を持ったケトン類を合成し、抗アレルギー薬アナログに導くと共に、それらの生理活性を連携研究者との共同研究により評価する。また、新しい連続反応(2)では、初めての不斉触媒化を検討する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
当初の予定より消耗品の購入時期が少し遅くなったためで、研究計画に変更はない。 平成26年度分と合わせた予算により、計画通り反応試薬、TLC、カラム用シリカゲル、カラム用および反応用溶媒等を購入する予定である。
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