2013 Fiscal Year Research-status Report
海洋産ポリ環状エーテル細胞毒ギムノシンの全合成研究
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24590033
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Research Institution | Meijo University |
Principal Investigator |
森 裕二 名城大学, 薬学部, 教授 (40121511)
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Keywords | ギムノシン / 渦鞭毛藻 / 赤潮毒 / Karenia mikimotoi / ポリ環状エーテル |
Research Abstract |
赤潮形成渦鞭毛藻から単離された海産14環性ポリ環状エーテルで細胞毒性を有するギムノシンの全合成研究を実施した。ギムノシン-Aを3つのフラグメント、すなわちABC環フラグメント、FGH環フラグメント、およびKLMN環フラグメントから合成する計画を立て、本年度の研究では、 [X+2+Y]型収束合成法を用いて各フラグメントの合成を実施した。 前年度に合成ルートを確立したギムノシン-AのABC環フラグメントについては、D-グルコースから調製した四炭素トリフラート誘導体と2-デオキシ-D-リボースから調製したエポキシスルホン誘導体を連結後、分子内アルキル化による6員環エーテルケトンの構築、環拡大反応による7員環ケトンへの変換、エノールエーテル化とOsO4酸化によるヒドロキシケトンの合成、分子内アセタール化と還元的エーテル化により、10gスケールでBC環部の大量合成を行った。今後、ラジカル環化反応を用いてA環部を構築する予定である。 一方、ギムノシンのF環とK環は同一構造であるので、2-デオキシ-D-リボースを用いて10gスケールでK環の合成を進めた。N環も同様のスケールで合成を行いフラグメント合成用原料を確保した。これらの大量合成と平行して、少量スケールではあるが、KLMN環フラグメントの合成ルートを確立した。はじめに[X+2+Y]型収束合成法を用いてK環とN環フラグメントをオキシラニルアニオン法で連結後、L環を分子内Williamsonエーテル合成と環拡大反応で構築し、ついでL環の7員環ケトンとN環の水酸基を反応させて環状アセタールとしたのち、還元的エーテル化反応によりM環を構築した。最後に側鎖部分を導入してKLMN環エポキシスルホンの合成を達成した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成24年度は、海産14環性ポリ環状エーテル・ギムノシンの全合成研究の基盤となる収束合成法の開発研究を行い、エポキシスルホンとトリフラートとの連結反応、つづく連結部位での2個の縮環エーテル構造を構築するという新規な[X+2+Y]型収束合成法を確立することができた。これにより当初の研究計画は100%達成された。本年度の研究では、開発した収束合成法を用いて、ギムノシン-AのABC環フラグメントのABC環ユニットの大量合成を実施したが、1、2-ヒドロキシケトン構造を有する7員環であるB環の構築が、大量スケールになったことで少量実験の時のように収率よく進まないことが判明し、条件の再検討に迫られ、また、BC環部の構築の収率が60%程度に留まっている点で、この合成については達成度60%と評価した。KLMN環フラグメントの合成については、少量スケールではあるが、4連続の縮環システムを構築するルートを確立することができたので、予想通りの達成率といえる。しかし、平行して実験を進めている、原料のK環ユニットおよびN環ユニットを2-でオキシリボースから大量に合成する実験がやや遅れていることから、本年度の当初全体計画と比べるとやや達成度が低い評価となった。
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Strategy for Future Research Activity |
ギムノシン全合成のための三種類のABC環フラグメント、FGH環フラグメント、KLMN環フラグメントの合成を継続して進める。 ABC環合成では、BC環部の構築に関して大量合成に耐えうるような反応条件を至急検討する予定である。また、原料となるF環(K環)ユニットおよびN環ユニットの大量合成を強力に推進し、FGH環とKLMN環フラグメントを構築したのち、それらを連結してギムノシン-Aの本年度中の全合成を目指す。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
当初、大量合成のために研究用薬品類の大量購入を予定していたが、一部期待した通りの実験結果が得られず、合成条件の再検討が必要となり、比較的少量スケールの実験検討をすることになり、結果的に試薬類の購入費が少なくなったため。 平成25年度で確立された実験条件を用いて、平成26年度では大量合成に取りかかるので引き続き、その原料試薬や薬品類の購入に使用する。
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Research Products
(10 results)