2013 Fiscal Year Research-status Report
エンド開裂による異性化を基盤とした生理活性糖鎖合成研究
Project/Area Number |
24590041
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Research Institution | Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
眞鍋 史乃 独立行政法人理化学研究所, 伊藤細胞制御化学研究室, 専任研究員 (60300901)
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Keywords | ピラノシド / 異性化 / 保護基 / ヘパロサン |
Research Abstract |
昨年度化学合成した1,2-transグルサミンテトラサッカライドの保護基を適宜除去し、N-アセチル2,3-trans カーバメート基を導入した。弱いルイス酸条件により、N-アセチル2,3-trans カーバメート基を持つアミノ糖4つのアノマー位の立体化学を一挙に1,2-cis 体へと変換できることを示した。Fischer によるグリコシル化反応の開発以来、これまで、糖受容体と糖供与体とのグリコシル化反応によるグリコシド結合生成時にアノマー位の立体化学が決定されてきたが、本手法では、既存の複数のグリコシド結合の立体化学を一挙に変換することが可能となる。加えて、1,2-cis アミノグリコシド結合は、生理活性糖鎖によく見出される構造であるが、その立体選択的構築は通常のグリコシル化結合ではいまだ困難である。本異性化反応では、完全な1,2-cis 体に異性化することが可能であり、有機合成化学的にも有用性が高い。 ヘパリン前駆体であるヘパロサンも1,2-cis アミノグリコシド結合を含む。昨年度合成した1,2-trans 結合を持つグルコースとグルコサミンの繰り返し4糖についても、N-アセチル2,3-trans カーバメート基を導入後、異性化を行った。 また、副次的な課題として、特異な性質を持つ新規保護基を見出した。一般的な保護基は、より強い条件において脱保護が可能となるが、スルホニルカーバメート基窒素上のプロトンの酸性度を利用して、弱い塩基性条件において除去可能で、強い塩基性条件で安定である水酸基への保護基を開発した。中性条件において導入可能である。幅広い基質に適用可能であり、汎用されている水酸基保護基との相補性についても確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
異性化反応の最適化、および、オリゴ糖においての異性化反応を遂行した。 異性化反応により、グリコシド結合の立体配置を完全な選択性により、変換可能であることは、糖化学において、画期的な成果といえる。加えて、申請当時は、予定していなかったが、きわめてユニークな特徴を持つ水酸基の保護基の開発にも成功した。
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Strategy for Future Research Activity |
異性化したヘパロサン合成前駆体の保護基の除去、官能基変換を行い、ヘパロサンの合成を行う。 当該異性化反応の一般性を示すことを目的として、結核菌に対する効力をもつmycothiol の合成を行う。イノシトールを適宜、保護し、光学分割ののちに、2,3-trans カーバメート基を導入したアミノ糖供与体による直接グリコシル化反応、および、1,2-trans アミノグリコシド結合の異性化によるそれぞれの手法により、目的物の合成を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
カタログ品を購入予定であったが、欠品中で、販売予定が未定であるために、研究室で独自に合成した。 試薬などの消耗品に使用する予定である。
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