2013 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24590044
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
後藤 貴章 東北大学, 薬学研究科(研究院), 講師 (40344684)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大江 知行 東北大学, 薬学研究科(研究院), 教授 (10203712)
李 宣和 東北大学, 薬学研究科(研究院), 助教 (60519776)
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Keywords | 分析科学 / 生体分子 / タンパク質 / 質量分析 / 翻訳後修飾 |
Research Abstract |
対象をヘモグロビンにも広げ、消化ペプチドの分析条件の最適化を検討した。LC/ESI-MSにおいて、ODSカラムを用いたグラジエント溶出ならびに正イオン検出モードによって、ヘモグロビンの各種酵素消化ペプチドを効果的に分離・検出可能であった。さらに、それぞれトリプシン、V8プロテアーゼ、Asp-Nで消化して得たペプチドの分析より、ヘモグロビンの全アミノ配列をカバーするペプチドデータの取得を達成した。エドマン型試薬の検討においては、金属錯体型試薬を調製し、その特性評価を行った。前年度より継続して行なったアルブミンを対象とした検討では、HILICや負イオン検出の効果を検討し、これらの併用の有用性を確認した。さらに、高分解能測定によって得られたアルブミン消化物の質量データとMS/MSによるフラグメント情報から、修飾解析のベースとなる細密化したペプチドマップの基礎を作成した。これに並行し、N末端に特異的な異性化機構の解析を行なうとともに、正常血漿試料中にN末端の異性化したアルブミンが一部存在することを明らかにした。また、翻訳後修飾の識別効率の向上を目的として多変量解析ツールの応用を検討し、標品および血漿試料の測定データ比較により多数の修飾部位を識別可能であった。今後、各種の解析パラメーターを最適化を行なっていく必要があると考えられるものの、質量変化を伴わない修飾の識別にも十分応用可能であると考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、分子上の修飾情報解析に必要な基本手法の構築を主眼に検討を行い、さらに対象タンパク質をヘモグロビンにも拡大できた。定量的解析の観点から検討したエドマン法を応用した手法は、一連の修飾解析に組み込むためには操作が複雑過ぎると考えられた。これに代え、修飾の識別を主目的に検討していたディファレンシャル解析が非ラベル化での定量的解析にも有用なことから、主要な目的は達成できたと考えられる。また、当初の計画に先行して実試料を用いた検討にも着手済みであり、全体計画の中でおおむね順調に進展しているものと考える。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度となる本年度は、これまでの研究成果を基にして、修飾モデルを用いた一連の分析法の最適化と実試料の評価を主に行う。タンパク質中のアミノ酸異性化機構には未解明の部分も多いことから、高効率の異性化反応条件は必ずしも確立されていない。十分量の異性化タンパクを調製できない可能性もあることから、紫外線照射などの物理的方法と合わせ、各種酵素による消化ペプチドに対応したD-アミノ酸含有合成ペプチドを用いた検討・評価も考慮する。また、市販あるいは実験者の血液を用い実試料中の修飾アルブミン及び修飾ヘモグロビンの解析を行い、各種の分析条件ならびに解析パラメーターの最適化を図るとともに、その有用性を検証する。さらに、構築した分析手法ならびにこれを用いた実試料測定から得られた新たな知見を取りまとめ、研究成果として発表を行う。また、次期研究を視野に入れ、本研究の成果からの発展の方向性と適用の可能性、解決すべき課題を明確にする。
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Research Products
(8 results)