2012 Fiscal Year Research-status Report
運動性・拡散性を指標とした難溶性薬物の過飽和溶液構造の評価及び膜透過性との関連
Project/Area Number |
24590045
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
森部 久仁一 千葉大学, 薬学研究科(研究院), 准教授 (50266350)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
東 顕二郎 千葉大学, 薬学研究科(研究院), 助教 (40451760)
山本 恵司 千葉大学, 薬学研究科(研究院), 教授 (50110341)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 固体分散体 / 過飽和 |
Research Abstract |
Carbamazepine(CBZ)と、Hydroxypropyl Methylcellulose-Acetate Succinate (HPMC-AS)との固体分散体をpH7.4のリン酸緩衝液中に分散したところ、薬物単独の溶解度に比べ3倍の溶解性を示す過飽和溶液が調製された。ミセル形成が報告されているポリマー(Poloxamer)を対象としてCaco-2膜透過実験を行った。その結果、CBZ/HPMC-AS過飽和溶液では有意なCBZ膜透過量の改善が見られたのに対し、CBZ/Poloxamer可溶化溶液では膜透過量改善が認められなかった。Poloxamer溶液中では、CBZがPoloxamerミセル中に可溶化されているため、膜を透過できない状態にあったと考えられた。一方、HPMC-AS過飽和溶液中では有意な透過量の改善が認められたことから、HPMC-AS過飽和溶液の薬物溶解性改善メカニズムは可溶化溶液と明確な違いがあることが示された。Caco-2膜透過量の改善が確認されたCBZ/HPMC-AS過飽和溶液中でのCBZの分子状態を評価するため、溶液H-NMR測定及びNMR緩和時間測定を行った。HPMC-AS過飽和溶液中ではCBZ単独の溶液に比べCBZの分子環境に大きな違いが見られず、過飽和溶液中のCBZとHPMC-ASの相互作用は弱いと考えられた。NMR緩和時間測定の結果、HPMC-ASを用いた溶液中ではCBZの運動性が著しく抑制されていることが示された。このことから、CBZは過飽和溶液中で単分子ではなく、一定の大きさを有する会合体で存在していると考察された。以上の結果より、CBZ/HPMC-AS過飽和溶液中ではCBZはHPMC-ASによって動きを制限されることなく水中に分散しているため、Caco-2膜の透過実験において有意な透過量の改善を示したと結論付けた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
Carbamazepine(CBZ)と、Hydroxypropyl Methylcellulose-Acetate Succinate (HPMC-AS)との固体分散体の系の検討については、一通りの検討は終了した。別の薬物を用いた検討も現在進行中である。HPMC-ASのHFグレードを用いた検討も一通りは終了した。別のグレードに関する検討も現在進行中である。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでと同様に、難水溶性薬物であるCarbamazepine (CBZ)をモデルとして用い、過飽和溶液中でのHPMC-ASによるCBZ結晶化抑制に寄与する分子間相互作用を1H-NMR測定により評価する。CBZを事前に高濃度に溶解したDMSO溶液をグレードの異なるHPMC-AS(LF及びHF)溶液にそれぞれ添加し、一定時間ごとのCBZ濃度を定量しHPMC-ASによる結晶化抑制作用を観察する。CBZ/HPMC-ASの各溶液に関し、溶液NMRを用いたNOESY測定を行い、CBZ/HPMC-AS間の相互作用を評価する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
該当なし
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Research Products
(5 results)