2012 Fiscal Year Research-status Report
転写・スプライシング因子PQBP1のコネクター機能の検証
Project/Area Number |
24590049
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
水口 峰之 富山大学, 大学院医学薬学研究部(薬学), 教授 (30332662)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | タンパク質 / 天然変性タンパク質 |
Research Abstract |
PQBP-1(Polyglutamine tract binding protein-1)が、RNAポリメラーゼIIとスプライソソームを連結するコネクタータンパク質であるという仮説が提案されている。本研究では、この仮説を溶液NMRとX線結晶構造解析の手法で検証する。そのために、PQBP-1, PolII-C-Repeat, U5-15kDの3分子複合体の立体構造をNMRとX線結晶構造解析によって解明する。 PQBP-1をHisタグ融合タンパク質として大腸菌で発現させた。その際、PQBP-1を2H, 15Nで標識するために、15N塩化アンモニウムを含むM9培地を重水で作成した。2H/15N標識PQBP-1はNiアフィニティークロマトグラフィーと逆相HPLCで精製した。 PQBP-1と相互作用するU5-15kDを大腸菌で発現させた。U5-15kDは、N, C末端の数残基を削除したU5-15kD(4-137)を用いた。U5-15kDはNiアフィニティークロマトグラフィーとゲルろ過クロマトグラフィーで精製した。 2H/15N標識PQBP-1のNMRスペクトルは、Bruker Avance 800 NMR装置で測定した。U5-15kDは凝集しやすく不安定であるため、PQBP-1とU5-15kDの複合体が最も安定な条件を検討した。その結果、20 sodium phosphate (pH 8.0), 1 mM EDTA, 1 mM DTTの溶液条件のサンプルが最も質の良いNMRスペクトルが得られた(25℃)。 98-192残基を欠損させたPQBP-1変異体について、大腸菌による発現系を構築し、欠損変異体を発現・精製した。欠損変異体は可溶性画分に発現され、U5-15kDのときと同様の手法で精製できた。また、88-222残基を欠損させた変異体についても同様の手法で発現・精製した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
平成24年度に行う当初計画に加えて、98-192残基欠損変異体、88-222残基欠損変異体の発現系を構築し、タンパク質試料を得ることに成功したため。平成25年度以降に、これらの欠損変異の影響を調べることが可能である。
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Strategy for Future Research Activity |
PQBP-1は、そのWWドメインを介して、RNA polymerase II (PolII)のC末端リピート領域と相互作用することがわかっている。また、PQBP-1のWWドメインは、PolII Cリピートだけでなく、スプライソソーム構成因子のWBP11のProリッチ領域に結合すると報告されている。平成25年度は、PQBP-1とPolII Cリピート、及びPQBP-1とWBPのProリッチ領域の結合について調べる。結合の強さを定量的に評価するために、表面プラズモン共鳴を用いた実験を行う。PQBP-1のWWドメインを含むPQBP-1(1-92)をセンサーチップ表面に固定化し、PQBP-1に結合すると予想されるPolII Cリピート、WBPのProリッチ領域との結合を観測し、解離定数を求める。結合が観測されたペプチドについて、ペプチドのどの部分が結合に重要なのかを変異体を使った実験によって調べる。さらに、NMRを用いてPQBP-1とペプチドとの結合について調べる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究計画では目的タンパク質のPQBP-1をGST融合タンパク質として発現させる予定であったが、この発現系ではPQBP-1の収量が低いため、発現方法の改善に取り組んだ。その結果、PQBP-1をHisタグ融合タンパク質として発現させることにより、収量を増加させることに成功した。そのため、生化学用実験試薬や安定同位体を購入する物品費が予定よりも少なくなったために当該助成金が生じた。また、当初予定していた学会発表を平成25年度に変更したことや、謝金業務が必要なくなったことも当該助成金が生じた理由である。当該助成金は、翌年度分として請求した助成金と合わせて、物品費として100万円使用する(生化学用実験試薬に50万円、安定同位体試薬に40万円、プラスティック器具に10万円)。また、旅費として30万円、人件費・謝金として20万円、その他で30万円使用する予定である。
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Research Products
(2 results)